秋のレシピにぴったりのフランス食材

By Vicki Denig

フランスは高品質な農産物、乳製品、肉製品の宝庫として知られ、秋の味覚を楽しむのにぴったりな食材もたくさんあります。どの食材を選べばよいか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?今回は、この秋に味わいたい、フランスならではの極上食材や風味を、旬のレシピやワインのペアリングとともにご紹介します。さあ、オーブンを温めて、フランスの家庭料理のように心を満たす一皿を作りましょう。

Fall Products

🌿 農産物(フルーツ&ベジタブル)――フランス産洋梨、リムーザン産りんご、フランス産にんじん  

 

農産物の中でも、旬を一番感じさせてくれるのは果物です。一年を通して出回る果物の中にも、年に一度だけ旬を迎える特別な品種があります。例えば、フランス産洋梨年間を通じて手に入りますが、秋になるとブーレ・アルディ、アレクサンドリン、コミスなどの爽やかな品種が登場します。そのまま食べても、スライスしてサラダに加えても、お気に入りのデザートレシピに取り入れても美味しいです。収穫や購入後は、冷蔵保存してください。

同じく、AOP リムーザン産りんごは、おすすめの秋の味覚です。フランス南西中部で栽培されるゴールデンデリシャス種で、甘さと爽やかな酸味が見事に調和した味わいで知られています。AOP リムーザン産りんごは、9月下旬から10月初旬に収穫され、その美味しさを長く保てるよう丁寧に包装されます。「AOP」や「リムーザン産りんご(Pomme du Limousin)」と書かれたラベルが、本物の目印です。

洋梨と同様に、フランス産にんじんも一年中手に入りますが、特に秋の料理でその真価を発揮します。にんじんが持つ自然なコクと甘みのバランスが、グラタンやキャセロールなどの秋の定番料理に深みを与えてくれます。フランス産にんじんは、皮がしっかりとして中心が繊維質で、黄色からオレンジ、紫まで多彩な色合いがあります。ちなみに、フランスではトマトに次いで人気の高い野菜なのです!

🧀 乳製品――AOP コンテ、ブルー・ドーヴェルニュ

 

フランス料理では、チーズは一年を通じて欠かせない食材ですが、秋になるとひときわ美味しく感じられるものがあります。その鍵は牛乳の質です。秋になると、牧草から貯蔵飼料の飼育へと切り替えられ、乳脂肪分が安定してタンパク質が濃くなることで、凝縮された風味が生まれるのです。

 

例えば、AOP コンテは、一年を通して親しまれる定番チーズで、フランス国内でも生産量が最も多いです。しかし、秋の料理に使うと、ナッツのような香ばしさがいっそう際立ちます。ジュラ山脈一帯で生産されるコンテは、グラタンやポットパイのような、とろりとした加熱料理にも、そのまま切って食べても美味しい万能チーズです。また、ブルー・ドーヴェルニュは、秋の果物の甘みと相性が抜群で、理想的なペアリングです。バターのようなクリーミーな口当たりと、ほのかな甘みを持ち、ロックフォールよりも優しい味わいが特徴です。秋のサラダや季節のチーズボードなどにもぴったりです。

🦪 肉類&シーフード――リムーザン地域の仔牛肉、フランス産牡蠣

 

フランスから届く秋の味覚には、農産物やチーズに加えて、肉やシーフードもあります。そのひとつがIGP リムーザン地域 ラベル・ルージュ付き農家の仔牛肉です。ゴールデンデリシャス種のりんごと同じ、フランス南西中部で育つこの特別な仔牛肉。「母牛のもとで育てる」という伝統的な飼育法により、母牛から直接ミルクを飲んで育つのが特徴です。手間と時間を惜しまないこの手法が、芳醇な旨味と口の中でとろけるような食感の肉質を生み出し、秋の料理にぴったりの味わいとなります。

さらに秋は、待望のフランス産牡蠣のシーズンの到来期でもあります。中でも、IGP マレンヌ=オレロン産牡蠣は見逃せません。ヌーヴェル・アキテーヌ地方で養殖されるこれらの牡蠣は、かつては塩性湿地だった「クレール」と呼ばれる植物プランクトンが豊富な粘土質の養殖池で育つことで、独特の緑の色合いを帯びます。殻を開け、キリッと冷えたフランス産白ワインとともに味わえば、至福の瞬間が訪れます。実は、この緑色を帯びたフィーヌ・ド・クレール・ヴェルト(fine de claire verte)は、1989年にはじめてラベル・ルージュを獲得した最初の海産物なのです。

🌰ナッツ&スイーツ - グルノーブル産クルミ、ペリゴール産クルミ、マロンクリーム

 

サラダやデザート、チーズプレートに心地よい食感を与えるなら、AOP グルノーブル産クルミとAOP ペリゴール産クルミがぴったりです。フランス南東部と南西部、それぞれの地で栽培される高品質なクルミは、乾燥させて殻付きのまま出荷されるため、保存性に優れ、美味しく食べられます。殻を剥いたばかりのクルミはビタミンやミネラルが豊富に含まれ、料理に食感を添えるほか、そのままつまんでも楽しめます。

秋の味覚をスイートに楽しむなら、マロンクリームがおすすめです。栗のペーストとしても知られる、この甘いクリームは100年以上にわたりフランス料理の定番食材となってきました。その起源は1885年、アルデーシュのマロングラッセ製造過程で出る、割れ栗を再利用しようと考えたことが始まりです。新鮮な栗を剥いてピューレにし、砂糖、シロップ、バニラを加えて作るこのペーストは、現在ではマロンクリーム(crème de marrons)と呼ばれています。デザートのアクセントに、トーストに、そしてスプーンですくってそのまま味わっても、甘いひとときを楽しめます。

🍽️ この秋に試したいフランス料理5選

 

洋梨のロースト、ブルー・ドーヴェルニュとマーシュサラダ添え 

ランチサラダにもう一味プラスしたいなら、洋梨をローストしてブルー・ドーヴェルニュのピリッとした風味を効かせた秋らしいサラダはいかがですか?前菜にもおすすめです。グルノーブル産またはペリゴール産クルミを加えると、さらに秋らしい香ばしさが増します!

バターナッツかぼちゃとコンテチーズの惣菜風クランブル

 

根菜ととろけるチーズは絶妙の相性です。ナッツのような香りを持つコンテチーズが、バターナッツかぼちゃの甘みを引き立てます。うれしいことに、この料理は時間が立つほど美味しくなるのです。 

ル・ピュイ産レンズ豆と季節の野菜のカレー

 

ル・ピュイ産レンズ豆と季節の野菜のカレーは、秋の訪れを感じさせる理想的な一皿です。体が温まるこのカレーは、旨味とスパイスのバランスが絶妙で、フランス産にんじんとAOP セヴェンヌ産スイート・オニオンの自然な甘みが全体を包み込むようにまとめあげます。

仔牛のエスカロップ、ポルチーニのクリームソース

 

お肉派の方にぴったりの秋の料理は、柔らかな仔牛のエスカロップをポルチーニのクリーミーなソースで仕上げた一皿です。手軽に作れて、美味しくて満足感があります。当編集部の料理制作チームによると、「一口ごとに秋の恵みを感じる」美味しさです!

りんごとマロンクリームのクランブル

 

デザートはもちろん別腹です!りんごとマロンクリームのクランブルは、秋の味覚が詰まったスイーツです。りんごのすっきりとした酸味がマロンクリームのコクと調和し、軽やかさと温もりが絶妙に調和。仕上げにホイップクリームやバニラアイスクリームを添えれば、絶品です!

🍷 秋にぴったりのフランスワインのペアリング 

 

そして忘れてはいけないのが、やはりワインです!白ワイン好きの方には、幅広い味わいのシュナン・ブラン種から造られるアペラシオン・ヴーヴレがおすすめ。上でご紹介したバターナッツかぼちゃとコンテチーズのクランブルりんごとマロンクリームのクランブルをはじめとする、根菜や酸味のある果実を使った秋の料理ととてもよく合います。赤ワイン派なら、AOC ボジョレーをおすすめします。爽やかな酸味と柔らかなタンニンが、秋の多彩な味覚を引き立ててくれます。きのこソースやサラダ、滋味深い野菜グラタンやチーズボードなどとの相性が抜群です。お近くのワインショップで買ったワインを少し冷やして、仔牛のエスカロップ、ポルチーニのクリームソースと合わせてみてください。

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