ロワール川、驚異の旅

By Christelle Zamora

ギャツビーがロワール渓谷のワインを専門に扱うニューヨークのワイン商を訪ねたとき、新しい小説を書く気などありませんでした。葡萄畑を発見する旅に出ることも。  

Loire journey

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ロワールの象徴的なブドウ品種である丸みを帯びたシルクのようなカベルネフランを口にしてから、彼は決心します。作家は2つの大陸を隔てる太平洋を越え、ロワールの葡萄畑へと向かいます。ワイン商は彼がやるとは全く思っていませんでした。けれども、ヨーロッパ最後の「自由な」川であるロワール川をたどる旅は、ギャッツビーにとって創作意欲をかきたててくれる旅でした。ナントから出発したギャツビーは、ペイ・ナンテ地区の最も偉大なワインであるアンジュー、ソーミュール、トゥーレーヌを味わいます。彼はミュスカデの一大産地で生牡蠣の祭典に魅了されます。大西洋と大陸の影響を受けた土壌により、ここの料理とワインは新鮮で磯の香りがします。この気候により、ロワール渓谷の白ワインは特別な緊張感のあるワインに仕上がります。  

ナントからブロワへの旅 

ロワール川の船旅は、ギャツビーにこの素晴らしい景色のロマンチックで野生的な見方をもたらします。彼は水の流れに身を任せます。この魔法のような場所で彼は思い出に耽ります。作家はハドソン川渓谷の土手でアンジューのロゼに出会ったことを思い出します。その後、彼はある夕食で、ロワールのロゼとカベルネ・ダンジュと料理の素晴らしいマリアージュに驚きます。ギャツビーは、これらのロゼは若いうちに飲むのが好きです。フルーティーなロゼは、あらゆるシーンで溌剌とした味の体験をもたらしてくれます。しかし、ギャッツビーにとって人生は長く静かな川ではありません。  

彼はレイヨン川渓谷でさらに多くを得ます。カール・ド・ショームの優美さは彼にとって味覚の宝物として姿を現します。なんという豊かさ。その後、作家は最初のソミュール・ブリュットを味わった洞窟の貯蔵庫でロワールの繊細な泡と出会います。早朝に訪れたこの丘陵は、彼にとって忘れられない思い出になります。  
しかし、この時、作家は眠りの森の美女の地へ行きつくとは思ってもいません。翌日、彼はユレニ・ユッセの古城を訪れ、別世界に運び込まれます。そこで、城主は、銘柄サン・ニコラ・ド・ブルグイユの繊細さを披露します。気高いロワール渓谷のワインの象徴。ギャツビーは、シノンの古酒に感動したことを今でも覚えています。彼にとって、これらの強烈で肉付きの豊かなワインは、トゥーレーヌの頂点に立つ赤ワインです。  

ヴーヴレでは、地下貯蔵室でシノンと再会します。作家はグラスを回して空気をワインに含ませてから、香りをかぎます。白ワインをひとくち飲んだだけで、レモンピールの味わいが彼をタイムスリップさせます。驚いたことに、ギャツビーは祖母の庭でいろんな空想の世界が広がるコート・デ・ブランのワインを味わう自分の姿を目にします。これが彼のお気に入りのブドウです。カリフォルニアの人たちも大好きな。この一本とギャツビーは1人で無人島に行きたいと思います。  

夕暮れに包まれてロワールを前にギャツビーは思いに耽ります。彼は息を飲むよう な光景のなか、独自の感覚を呼び覚ます旅を体験しました。ロワール渓谷とそのワインが彼の次の小説の題材になるとは誰も予想していませんでしたが。

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