FinGras du Mezenc
取材

極上の味 ~ メザン産ファングラ牛

Jill Cousin Jill Cousin , Editor 2022.02.15

フランスの南半分の中央部、マッシフ・サントラル(中央山塊)の中心に位置するメザン(Mézenc)高原では、先祖代々から続く伝統が受け継がれています。
その伝統とは、この地方特有の豊かな植物を飼料に、牝牛と牡牛をゆっくりと時間をかけて育てるというもの。
こうして、極上の霜降り肉で知られるメザン産ファングラ牛が生み出されるのです。
このアペラシオン唯一のオーガニック生産者フロリアン・ジボー氏の農場をのぞいてみましょう。

草原を歩いていくと、フロリアン・ジボー氏の飼育するヘーゼルナッツ色の毛並みをしたオブラック牝牛の群れに出会います。
彼によると、伝統的な品種はメジーヌでしたが、長い年月の間にすっかり姿を消してしまい、今のアペラシオンには、オブラック、サレール、シャロレーズ、リムジーヌといった品種が存在するとのこと。
フランスでは、AOP(原産地呼称保護)認証を受けている牛肉は4種類しかありません。
そのひとつが、2013年に認定されたメザン産ファングラ牛です。
アルデシュ県とオートロワール県のあいだ、モンメザンにある28市町村に広がる海抜1,000m以上の草原が、何世紀ものあいだ牛たちを育ててきました。
ここにはAOP認定だけでなく、特別な環境に結びついた地方特有の伝統があるのです。

TFM_FinGras du Mezenc
  • ©PHILIPPE VAURÈS SANTAMARIA

    極上の餌 

    ジボー氏によると、メザン産ファングラ牛の特徴は、牛の餌となる植物が豊かなことで、植物種は68種以上あり、香草、イネ科、花、草(ミヤコグサ、クローバー、スミレ、イブキトラノオ、ノコギリソウなど)に分けられます。そのひとつが、『アルプスのフェンネル』とも呼ばれ、レモングラスの香りを持つアルプスセリ。
    動物たちが大好きなので、『肉用草』と呼んでいるとのこと。
    同氏は現在30代で、家族で経営する120ヘクタールの農場を任され、2015年に有機農場に転換しています。
    「アルプスセリは、肉に格別の風味と霜降りを与えます。肉のこのような素晴らしい特徴は、何世紀にもわたって評価されてきたこの貴重な干し草によるものです。ちなみに、『ファングラ』という名称は、こうした特徴的な筋肉内の脂肪(グラ)組織に由来するもの。この組織のおかげで、肉はこれほどまで柔らかく、おいしくなるのです」と、ジボー氏は顔をほころばせます。

    TFM_FinGras du Mezenc
  • ©PHILIPPE VAURÈS SANTAMARIA

    厳格な条件で育てる

    かつて彼の両親は牛の生乳からチーズを作っていましたが、若い彼は、よりダイナミックな食肉業を選びました。
    牛の群れを追いかて石ころだらけの急な斜面を進みながら「とても厳しい気候のため多くの住民がこの土地を離れました。翻ってみると、この気候のおかげで景観が保たれたわけです。ここは、一度も耕されたことのない土地なのです」と、ジボー氏は説明してくれます。

    Florian Gibaud
  • ©PHILIPPE VAURÈS SANTAMARIA

    年によって異なりますが、このAOPには1,200頭から1,700頭の牛がいます。厳格な条件が課され、冬場の肥育は山の乾草を用いなければなりません。また、食肉処理場に連れて行くことができるのは、24カ月以上の未経産牛(まだ子牛を産んでいない若い牛)と30カ月以上の去勢牛に限られており、かつ、2月1日から5月31日の期間に定められています。また、市場に出す前に、10日以上熟成させなければなりません。
    「うちでは、肉をさらに柔らかくするため、15日から17日間熟成させます」とジボー氏。
    そこから先は、私たちの好みで、いかようにも楽しめます。
    コツは、調理する30分前に冷蔵庫から取り出しておくこと。
    よく熱したフライパンでシンプルに焼いて、グラタン・ドフィノワ(じゃがいものグラタン)を添えたり、栗と一緒にじっくり蒸し煮したり...。
    どんな料理にしても、格別な柔らかさとジューシーさで舌を喜ばせてくれるでしょう。

    Fin Gras du Mézenc beef: A cut above
  • ©PHILIPPE VAURÈS SANTAMARIA

    みりん
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    AOP ル・ピュイ産緑レンズ豆
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