ドローム・プロヴァンサル地方で農家を営むステファヌ・ブタランさんは、ニンニクに魅了され、30年近く前から栽培を続けています。今回は、フランス料理に欠かせないこの食材を擁護するブタランさんに、白くて特徴的なニンニクの栽培について聞きました。

フランスには地理的表示保護(IGP)の認定を受けた野菜や果物が27種類あります。ニンニクはその一つです。ステファヌ・ブタランさんはこのことを誰よりもよく知っています。クレという小さな村でニンニクを栽培してきたブタランさんは、2009年にドローム産白ニンニクの規格策定に関わりました。 「90年代初めに家族の農園を受け継いだ際、それまでは種子栽培に特化していた父の事業を多角化し、ニンニク栽培を手掛けようと考えました。 現在では、敷地面積72ヘクタールのうち、11ヘクタールでニンニクを作っています」と説明するブタランさんの肌はもう日焼けしています。 「父と私は、生産が機械化されるタイミングでニンニク栽培を始めましたが、それまでは手作業で植え付けや収穫が行われていたのです。」

© ©PHILIPPE VAURÈS SANTAMARIA
植え付けとテロワール
4月:前年の10月から11月にかけて植え付け機で植えたニンニクの球根からは、約15センチの緑の芽が出ています。IGPでは、伝統的に以下の四つの在来品種が認められています: メシドローム(messidrome)、テルミドローム(thermidrome)、メシドー(messidor)、テラドー(therador)です。 最近では、サバドローム(sabadrome)とサバゴールド(sabagold)の2品種も追加されました。これらはいずれもソフトネック(軟頸)タイプで、開花しない品種です。 「白亜質と粘土質、シルトと粘土質の混じったドローム地方の土壌は、ニンニクの栽培にとても適しています。マイナス10℃まで凍結しないため、厳しい冬にもよく耐えます。」(ブタランさん) 収穫期は年にもよりますが、初夏に始まります。 「天候が味方してくれれば、収穫前に十分な雨が降り、ニンニクの成熟に必要な適度な水分量を確保できます。」

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収穫期
毎年、ブタラン家は他の地域からやってくる収穫作業者を受け入れます。彼らは農園の近くにキャンプを張り、収穫や選別、乾燥作業を行います。 「収穫作業は、ニンニクを覆う多くの薄皮を取り除くため、非常に時間がかかります。薄皮は3~4枚ほど残すのが理想的です。」 ニンニクは茎ごと引き抜き、1~2日間畑で乾燥させます。また、茎からそのままニンニクを摘み取ることもあります。その場合、茎は畑に残り、球根だけが収穫されます。 「収穫から2日後、土落としラインに運ばれ、真っ白になって出てきます。ニンニクは箱に詰められ、風通しの良いところで保管します。この乾燥工程は約3週間続き、ニンニクの水分を30%減らして保存が効くようにします。」 乾燥したドローム産白ニンニクは小袋に詰められ、フランスや国外のスーパーマーケットの棚に並べられます。 「ドローム産白ニンニクは、さっとゆでると甘みと軽い辛味が加わり、とても美味しいですよ。」

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Maison Boutarin
Montée Peyrambert, 26400 Crest
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