多彩な香りで料理を引き立てるフランスのアルコール類

By Tsuyoshi Murakami

フランスには、ワインやリキュール、コニャックなどのブランデー類、果実などを原料とする蒸留酒、オー・ド・ヴィなど多種多様なアルコール類があります。それらは飲料として呑まれるのはもちろん、料理にも幅広く利用されています。

 

assiete canard

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  • IGP ランド産マグレ・ド・カナール・フェルミエ
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  • AOP ヴァレ・デ・ボー・ド・プロヴァンス オリーブオイル
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白ワインは、野菜や魚介類を蒸し煮する場合などに加えられ、赤ワインは、肉類の煮込みなどによく用いられます。赤ワインでマリネしてから煮込めば、より柔らかく仕上がります。同じフランスワインでも、産地によって原料となるブドウも異なり、香りも味わいもそれぞれの土地ごとの特徴があります。ですから、食材との組み合わせなど、それぞれの特徴を生かして使われます。例えば、ソーヴィニヨン・ブラン種のブドウから造られるロワール地方の白ワインは、グレープフルーツのような柑橘系の香りやハーブを感じさせる香りがあり、グリーンアスパラガスなどの野菜や貝類などと良く合います。ピノ・ノワール種のブドウから造られる赤ワインで知られるブルゴーニュ地方の郷土料理では、コック・オー・ヴァン(鶏の赤ワイン煮)やブッフ・ブルギニヨン(ブルゴーニュ風牛肉の煮込み)など、赤ワインを使った煮込み料理がよく知られています。

 また、白、赤ともに、ワインはソース作りにも欠かせない要素の一つです。エシャロット、白ワイン、バターや生クリームなどで作った白ワインソースは、魚介類や鶏肉の料理などに、赤ワイン、エシャロット、フォン・ド・ヴォー、バターなどで作る赤ワインソースは、牛のステーキや赤身肉の料理に用いられます。

 ブランデーやオー・ド・ヴィ、リキュールは、匂いを消したり、香りを加えるために使われます。食材や料理によって香りが異なるので、使用するものも変わります。リンゴには、リンゴを原料とする蒸留酒、カルバドスを合わせ、マグレ・ド・カナールには、甘い香りのパスティスにバルサミコ酢を合わせたソースが、マグレ・ド・カナールの脂の風味や旨味の濃い味わいを引き立ててくれます。パスティスは、蒸留酒にスパイスのアニスを浸漬させて風味をつけたリキュールです。鶏のササミをオリーブオイルやオリーブなどの風味で味わう料理には、シャルトルーズのジュレを香りのアクセントとして加えます。シャルトルーズは、フランス南東部、アルプスの麓、グランド・シャルトルーズ修道院を起源とする薬草系のリキュール。900年ほど前に設立された修道院で蒸留酒をベースに100種類を超えるハーブやスパイスを浸漬して造られるリキュールです。ミントのようなハーブやスパイスの爽やかな香りが特徴です。

(アニスシェフ清水氏インタビューにより記事構成)

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