フランス料理に欠かせないジャガイモは、フランス全土の家庭で愛されている万能食材です。素朴な郷土料理から洗練された美食まで、フランス産ジャガイモには、各地の豊かなテロワールと食文化が息づいています。フランスはヨーロッパ第2位のジャガイモ生産国であり、世界有数の輸出国でもあります。国内ではさまざまな調理法や料理に適した多彩な品種が栽培されています。
知っておきたいこと
今でこそフランス料理に欠かせない食材となったジャガイモですが、16世紀に南米から伝来した当初、フランスでは疑いの目を向けられていました。その運命が変わったのは18世紀のこと。薬剤師で農学者でもあったアントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエが、巧みにジャガイモを世に広めたのです。特に有名なのは、ジャガイモ畑の周囲に武装した護衛を配して好奇心をかき立て、価値のある作物だと思わせたエピソードです(フランスの食にまつわるウソのようなホントの話として今でもよく知られています)。この作戦は見事に功を奏し、ジャガイモはすぐにフランスの食卓に浸透しました。
いまや、ジャガイモはフランス料理にとって欠かせない食材です。グラタン・ドフィノワやアッシュ・パルマンティエ、アリゴ、タルティフレット、有名なフレンチフライなど、数々の代表的な料理に使われています。フランスの生産量の約3分の2はオー・ド・フランスが占めていますが、グラン・デスト、サントル=ヴァル・ド・ロワール、ノルマンディー、ブルターニュをはじめとする国内各地で栽培されており、多彩な風味や食感が楽しめます。
そこで重要となるのは、料理に合わせたジャガイモ選びです。なめらかなピュレやカリッと香ばしいローストポテト、ポテトサラダといった料理は、選ぶ品種によって仕上がりが大きく変わります。フランス産ジャガイモは、主な調理法によって次の4つに分類されます。
- 蒸し料理・炒め物用(しっとり系で身の締まった品種) ― 茹でる、蒸す、炒めるといった調理に最適。肉質がしっかりしているため、加熱しても形が崩れにくいのが特徴です。
- オーブン料理・ピュレ用(ホクホク系) ― オーブン焼き、マッシュポテト、スープ、グラタンに最適。加熱すると、ホクホクした柔らかい食感になるため、ピュレやコンフォートフードに最適です。
- 揚げ物用 ― 特にフレンチフライに適した品種です。油を吸収しにくく、甘みが強くなりすぎず、黄金色のカリッとした仕上がりになります。
- グルナイユ ― フランスの特産品であるグルナイユは小粒で身の締まったジャガイモで、昔から皮付きのまま丸ごと調理します。小ぶりなので火が早く均一に通りやすく、蒸し料理やソテー、ローストといったさまざまな調理法に適しています。
特筆するべきこと
視覚的に
味覚的に
栄養面のメリット
一般的なイメージとは異なり、ジャガイモはもともと低カロリーで、約78%は水分、脂質はわずか約0.3%です。そして、次のような特徴があります。
- でんぷんを豊富に含む、貴重なエネルギー源
- 筋肉や心臓の正常な働きを助けるカリウムをはじめ、約20種類のミネラルが豊富
- ビタミンCを含む数少ないでんぷん質食品の一つ
- もともとグルテンを含まないため、グルテンフリーの食事制限に最適
皮付きのまま調理すると、ビタミンやミネラルの流出が少なくなります。
編集後記
利用方法
保存方法
ジャガイモは冷暗所で保存しましょう。理想的な温度は6~8℃です。光に当てないようにすることで緑化を防ぎ、低温で保存すれば発芽を遅らせることができます。ただし、フレンチフライに使うジャガイモは低すぎる温度での保存を避けましょう。低温によってでんぷんが糖に変化し、調理の仕上がりに影響することがあるからです。なお、ジャガイモと一緒にリンゴを1個入れておくと、発芽を遅らせる効果が期待できます。
下準備
- 使用する前に必ずジャガイモをよく洗いましょう。皮をむくかどうかは、料理に応じて決めてください。
- 茹でる場合は、均一に火が通るよう、塩を加えた冷水から茹で始めましょう。
- 火が通ったかどうかを確認するには、竹串を刺してみましょう。すっと入ればOKです。