多くの旅行者は夏に旅行の計画を立てますが、テイスト・フランス・マガジンがおすすめするのは、秋のワイン生産地訪問。暑さが和らぎ、ブドウの収穫がたけなわとなり、発酵の香りがそこかしこに漂っています。混雑も少なく、旅行費用も安くなります。
大都市でワインと食事を楽しむのもよいですが、少し足を延ばして、マイナーなアペラシオン(産地)を訪れるのも格別です。今回は、この秋訪れるべきフランス各地の趣のあるワインの村を6つ 厳選してご紹介します。それでは荷物をまとめて、セータを手に出掛けましょう! その地ならではのワインを持ち帰れるよう、スーツケースには余裕を持たせておきましょう。
コリウール
地域:ラングドック
ブドウ品種:グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、カリニャン、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ
のんびりした海辺の町の雰囲気とカラフルな路地裏――そんな旅を求めているなら、地中海の宝石と称されるコリウールがぴったり。スペインとの国境からわずか24km、地中海沿岸にひっそりと佇むこの美しい村には、色とりどりの家並み、石畳の小道、気軽に足を濡らせるビーチがあります。見どころは、もともと灯台として使われていた17世紀の鐘楼、「コリウールの風車」、そして丘の上のサンテルム要塞の博物館など。郷土料理の煮込みに地元のグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル(GSMと呼ばれる)の3品種のブレンドワインを合わせるのもよし。海辺の居酒屋で新鮮な魚介にグルナッシュ・ブランをやるのもよし。マティスやピカソなど、数々の芸術家が魅了されたこの村をぜひ訪れてみてください!

© ©Satilda
ベアルン
地域:南西地方
ブドウ品種: タナ、ラフィア・ド・モンカード、プティ・マンサン、グロ・マンサン
ベアルンは、驚くほど美味しくコストパフォーマンスに優れたワインで知られ、天然の塩泉からは粗塩が採れ、バイヨンヌ産生ハムなどの特産品に使用されています。ベアルンの風情ある村々に滞在し、ヨーロッパで最も標高の高いアルトゥーストの観光列車に乗って絶景を楽しんだり、サント・マリー大聖堂の界隈を散策して、小さなマルシェや地元のバーに立ち寄ったり。地元の文化にふれるなら、ベアルンの「塩の博物館」へ。一日の締めくくりには地元産のタナやカベルネ・フラン、プティ・マンサンのワインを、もちろん定番のベアルネーズソースと合わせて楽しんでください。

© ©philipimage
サヴィニィ・レ・ボーヌ
地域:ブルゴーニュ
ブドウ品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
世界中のワイン愛好家にとって、ブルゴーニュはまさに聖地。フランス東部のこの地域には最高級のワイン畑が広がっており、ここで過ごすことで旅は忘れられないものとなるでしょう。大きな町に滞在するならボーヌが最適ですが、中心地からわずか10分ほどの小さな村、サヴィニィ・レ・ボーヌに滞在すれば、はるかに風情のある体験が待できます。地元のパン屋に立ち寄り、ブドウ畑の中を走り、最近オープンしたワインバー&レストラン「ル・ソレイユ」で思い出に残る食事を。さらに、併設のシャンブルドット(民泊)に宿泊すれば、温もりあふれる(しかもワイン三昧)滞在となるでしょう。地元産のピノ・ノワールを開けて、新鮮なビーツとラズベリー、魚のアランチーニ、自家製テリーヌ、数々の肉やチーズとともに小皿料理を楽しみ、ほろ酔いで宿の部屋に上って眠る――これ以上の幸せがあるでしょうか?

© @Marco Bottigelli
ヴェゾン=ラ=ロメーヌ(コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ)
地域:ローヌ渓谷
ブドウ品種:グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル
南仏の夏が美しいというのは疑いようがありませんが、人混みと価格の高さが難点。だからこそ、オフシーズンの秋を活用しましょう。そのほうが、この土地ならではの、落ち着いた、あらゆることを楽しめる時間になります(さらに、9月なら気候はまだかなり暖かいです)。厳密にはプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域に属しますが、ヴェゾン=ラ=ロメーヌで生産されるワインはコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの産地ラベルで出荷されます。両方の良さを兼ね備えているということです。この美しい中世の町は、古代ローマ橋、ピュイマン遺跡、地元の生産者で賑わう伝統的な火曜日のマルシェで有名です。地元産豚肉のローストやラタトゥイユ、風味豊かな郷土食であるオリーブのタプナードには、クラシックなGSMブレンドのワインを合わせてみてください。コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュのワインについてさらに深く知りたいなら、隣接するセギュレ、ラストー、サブレの村へ足を延ばし、さらに美味しいものを味わってください。

© ©Happytrip
アルザス(コルマール)
地域:アルザス
ブドウ品種:リースリング、ゲヴルツトラミネール、ピノ・グリ
アルザスはフランスでも特異なワイン産地です。その理由としては、リースリングやシルヴァーナーなど、フランス以外の品種を主体に、単一品種の白ワインを造っている点が挙げられます。また、アルザスのアペラシオンは、アルザス、アルザス・グラン・クリュ、クレマン・ダルザスの3つです。アルザスへの観光客のほとんどが州都ストラスブールを目指しますが、私達がおすすめするのは、そこから約72キロ南の小さな村、コルマール。石畳の道、ルネッサンス建築、色とりどりの花で飾られた木組みの家――とても美しい川沿いの町です。13世紀のサン・マルタン教会を訪れ、大聖堂の広場でグラスを傾け、アルザスワイン街道を散策。記憶に残る食体験なら、ミシュラン星付きレストランの「ラトリエ・デュ・パントル」や「ル・ジャルダン」へ。白ワインは、地元産のリースリングやゲヴルツトラミネールを注文してみてください。

© ©Alexander Sorokopud
カシ
地域:プロヴァンス
ブドウ品種: サンソー、グルナッシュ、ムールヴェードル、クレレット、マルサンヌ
ワイン、ハイキング、ターコイズブルーの海を同時に楽しめる場所をお探しなら、カシがぴったりです。マルセイユから東に32kmの港町は、古城やカラフルな家並み、数多くのストリートカフェで知られています。村の周囲のブドウ畑では、サンソー、グルナッシュ、ムールヴェードルを栽培しており、有名なカランク国立公園をはじめ、数多くのハイキングコースからは周囲の海を一望できる絶景(ただし大変な運動量)が楽しめます。地元のマルシェで新鮮なチーズや果物、野菜を買ったり、バラゴン広場でスカーフや麦わら帽子、地元産の品物を見たり。ベストゥアン・ビーチの透き通った海水でたわむれたら、一日の締めくくりに地元産の美味しいロゼを飲みながら、スズキの塩焼きやムール貝のグラタン、プロヴァンス名物の魚のスープ「ブイヤベース」を召し上がれ。

© ©David C Tomlinson
フランスのワイン産地を巡る旅へご案内します 🗺️
フランスのワイン街道を巡るロードトリップを計画して、美しいブドウ畑を探索しましょう。オーガニックな体験を通して、定番ルートを外れた新しい視点からワインの魅力を楽しんでみてください。
Contributor

Editor