フランスの朝食は単なるステレオタイプなメニューではありません。そこには、上質な素材へのこだわりと、ブーランジェリーの職人技への深い敬意が込められています。今回は、フランス人が大切にしている朝の習慣を詳しく見てみましょう。
典型的なフランスの朝食
フランスの朝食(プチ・デジュネ)は、甘いパンやペストリーを中心とした軽めの食事。量より質を重視するのがフランス流です。主役は、焼きたてのフランスパン。バゲットやタルティーヌ(薄切りのパンにフランス産バターとジャムを塗ったもの)が朝の定番で、クロワッサンやパン・オ・ショコラ、ブリオッシュなども登場します。これに合わせるドリンクは、コーヒーやカフェオレ、紅茶、ホットチョコレートなどの温かい飲み物が主流です。
フランスの朝食で人気のペストリー
バターの風味とサクサクの食感が楽しめる美味しいペストリーは、フランスの朝食の主役。フランスで特に人気があるラインナップを紹介します。
- クロワッサン:バターの豊かな風味とサクサクの食感が楽しめる、朝食の定番。
- パン・オ・ショコラ:チョコレートを詰めたサクサクのペストリー。フランスの一部地域では「ショコラティーヌ」と呼ばれます(ただし、「チョコレート・クロワッサン」と呼ぶのはご法度!フランス人を怒らせてしまいます)。
- ブリオッシュ:ほんのり甘いふわふわのパンで、ジャムを添えるのが一般的です。
- パン・オ・レザン:レーズンとクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)を巻き込んだペストリー。
- マドレーヌ:貝殻型の小さなスポンジケーキで、紅茶によく合います。
- ベニエ:ペストリーを揚げて砂糖をまぶしたもので、のんびり過ごせる朝にぴったりのご褒美スイーツ。
こうしたフランスの定番ペストリーは、地元のブーランジェリー(パン屋)でいつでも手に入ります。週末は長い行列ができることも。バターの風味とサクサクの食感が魅力の甘いペストリーは、フランスだけでなく世界中で人気のある朝食メニューです。
他国の朝食との違い
フランスの朝食は、イギリスやアメリカで見られるようなボリューム満点の朝食とは違います。イギリスのフル・イングリッシュ・ブレックファストには卵、ベーコン、ソーセージがつきものですが、フランスの朝食はいたってシンプルで炭水化物が中心。クロワッサンやパン・オ・ショコラ、ブリオッシュといったペストリーが主役です。アメリカのようにパンケーキや目玉焼きが出てくることはなく、基本的に軽めで、塩味の料理はほとんど出てきません。一日のメインになる昼食に備えて胃袋に余裕を残しておくためです。
自宅で楽しめるフランスの伝統的な朝食
フランス風の朝食は、自宅でも手軽に楽しめます。まるでパリにいるような気分が味わえるはず。近所のブーランジェリーで焼きたてのバゲットやクロワッサン、ペストリーを買うもよし、自分で作ってみることもできます。クラストが香ばしいフランスの伝統的バゲットや、サクサクのクロワッサン、ふんわりしたマドレーヌやパリ風ブリオッシュの詳しい作り方を説明したレシピもご用意しました。挑戦してみませんか?
フランス人のリアルな朝食事情
フランスの朝食は塩気のあるものより甘い物が中心。多くのフランス人は、コーヒーやカフェオレと一緒に、バターとジャムを塗ったパンを食べて一日をスタートします。クロワッサンやパン・オ・ショコラといったヴィエノワズリー(バターの風味豊かなサクサクのペストリー)は、週末のごちそうとして味わうことが多いようです。ただし、朝食のスタイルも進化しています。最近では、シリアルやヨーグルトにグラノーラやミューズリーを加え、新鮮なフルーツを添えた手軽な朝食を好む人も少なくありません。また、スクランブルエッグやチーズ、ハムやべーコンといった塩気のあるメニューも、食卓に登場するようになってきました。
週末には、パンケーキやワッフル、クラシックなパン・ペルデュ(フレンチトースト)といった、少し手の込んだ朝食を家族で楽しむのが一般的です。パン・ペルデュは、固くなったパンを再利用して、砂糖やハチミツをかけて味わう賢い方法です。ギルティなレシピといえば、ハムとチーズのクロワッサンドイッチ。邪道かもしれませんが、美味しさには逆らえません!