フランスの畑から日本の食卓へ:フランス穀物産業が大阪で小麦の魅力を発信

By 江澤 香織

9月19日から21日にかけて、Intercéréales (フランスシリアル協会) 、ANMF、FEB、およびCNBPFは、2025年大阪・関西万博のフランス館で開催された「Taste France」イベントに参加し、フランスの小麦-製粉-パン産業を日本の来場者に紹介しました。 
 また、牛肉業界を代表するInterbev (フランス畜産・食肉協会) とともに出展し、フランスの小麦の豊かさを支える技術と人々の情熱を伝えました。 

2,100個以上のパンのサンプルを通じて、来場者は「畑から食卓まで」フランスの小麦文化とその職人技を体験することができました。 

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知のための芸術:古武家賢太郎の視点 

この展覧会では、アートと教育の対話をテーマに掲げていました。 
 日本人アーティストの古武家賢太郎氏が、「フランスの農場から日本の食卓へ」というテーマを独自に表現するために招かれました。 

古武家氏は6月にフランスを訪れ、農家、製粉業者、パン職人など、フランスの穀物文化の卓越性を継承する人々と出会いました。 
 彼の作品を通じて、彼らの所作、風景、道具が詩的かつ色彩豊かに描かれ、穀物の職人たちの日常が芸術として表現されています。 

同時に来場者は、小麦が小麦粉へ、そして小麦粉がパンへと変わっていく主要な工程をたどる教育的な展示コースを体験することができました。 
 このようにアートと情報を融合させたアプローチによって、フランスの小麦・製粉・パン産業における職人技と協働の重要性をより深く理解することができました。 

 

小麦から小麦粉へ 

すべてはフランスの田園地帯から始まります。 
 毎年秋になると、農家たちは自分たちの土壌や気候、そして最終的な用途に適した品種を選び、軟質小麦(blé tendre)を播種します。 
 シーズンを通して彼らは作物の品質を丁寧に管理し、製粉に適した高品質の小麦を確保しています。 

夏に収穫された小麦は、洗浄されたのちサイロに保管され、製粉の準備が整います。 

フランス国内には380以上の製粉所(moulin)があり、小麦を小麦粉へと加工しています。 
 製粉の前には、小麦の粒が慎重に検査・洗浄・選別されます。 
 その結果得られるのは、高純度で安定した品質を誇る小麦粉。 
 世界中のパン職人やパティシエたちが信頼を寄せる、フランス製粉の確かな技術です。 

フランスのパン職人の技 

パン職人の手にかかれば、小麦粉はフランス料理を象徴する最も代表的な存在のひとつ、パンの基礎となります。 
 わずか4つの材料――小麦粉、水、酵母、塩――を使い、職人たちは毎日数百万本のバゲットを形成・発酵・焼き上げています。 
 この技術は世代を超えて受け継がれてきたものであり、フランスの製パン伝統における正確さと情熱を象徴しています。 

 

大阪で楽しむ味の体験 

イベント期間中、来場者はフランス産小麦粉を使ったパンを味わうことができ、パンは会場で何度も焼き上げられました。この体験は大変好評で、フランス館の見どころのひとつとなりました。 

また来場者は、「思い出の壁」にメッセージを残したり、ポストカードを書いたり、イベントの公式スタンプを集めたりすることもでき、フランスの穀物との出会いを個人的な思い出として持ち帰ることができました。 

Intercéréales (フランスシリアル協会)について 

Intercéréales (フランスシリアル協会)は、フランスの穀物産業に関わるすべての関係者を結ぶ業界団体です。生産から加工まで、穀物の流通全体をカバーしています。 

同団体の使命は、フランス産穀物の普及と、その技術、品質、文化的価値の発信です。国内外で、フランスの穀物の魅力を広く伝える役割を担っています。 

 

Intercéréales (フランスシリアル協会) は、フランスの穀物産業に関わるすべての関係者を結ぶ業界団体です。生産から加工までの幅広い活動を統括しています。 

同団体は、フランスの高い品質と職人技を国内外で広めることに取り組んでいます。 
 フランスの穀物産業は、538,000人の雇用と210,000の農場を支えています。 

 

ANMF(フランス製粉業全国協会

ANMF(フランス製粉業全国協会) は、フランスで生産される小麦粉の94%を代表する団体です。 
 大小200社以上の企業が加盟しており、フランス製粉業の利益を守るとともに、製粉職人の仕事の価値を広める役割を担っています。

 

FEB(フランスパン業経営者連盟)

FEB(フランスパン業経営者連盟) は、80年以上にわたり、パン・ヴィエノワズリー・菓子製造業の企業を統括してきた団体です。 
 現在、180の工房、2,000店舗、53,000人の従業員が加盟しており、総売上高は90億ユーロにのぼります。

 

CNBPF(フランス製パン・菓子業全国連盟)

CNBPF(フランス製パン・菓子業全国連盟) は、フランス国内の34,000軒の伝統的パン工房を代表しており、20万人以上の職人が加盟しています。 
 毎日、1,200万人もの消費者が、フランスの職人技を象徴するこれらの店舗を訪れています。

Contributor

Ezawa Kaori
江澤 香織

ライター、旅、食、クラフトなどを中心に執筆

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