記事

産地や形状、個性を味わうフランスの塩

Tsuyoshi Murakami Tsuyoshi Murakami, writer 2020.12.04
塩

 日本でもよく知られているゲランドの塩は、フランス北西部のブルターニュ地方、ゲランドの塩田で1000年前と変わらない方法で作られています。この塩は、IGP(地理的名称保護)認証を受けています。他にも、西部、大西洋岸に浮かぶイル・ド・レ(レ島)の塩田、地中海沿岸のプロヴァンス地方、カマルグの湿地帯、エーグ・モルトの塩田で作られる塩、北東部、内陸のロレーヌ地方の岩塩、南西部バスク地方の塩泉、ピレネー山脈地下の岩塩が地下水に浸み出し、海水よりも高濃度の塩水となっているものを煮詰めて作るサリス・ド・ベアルヌの塩、この塩は、ジャンボン・ド・バイヨンヌ(IGP)作りに欠かせない塩となっていますが、フランスでは、古くから続く製塩法による塩作りが各地で行なわれています。
 

ワインでもチーズでも、自分たちの地方で作られたものを愛しているのがフランス人ですから、塩も、そこが産地であれば、自分の住んでいる地方、あるいは生まれ育った地方の塩が良いというでしょう。
 レストランのシェフたちは、塩も料理によって使い分けます。山のものには、山の岩塩、海のものには、海の塩。さらに産地ごとに使い分けることもありますが、家庭では、塩茹でなどに使う粗塩(グロ・セル)と、振り塩に使う細かな塩(セル・ファン)、そして、料理の仕上げに散らすフルール・ド・セル(塩の花)と呼ばれる塩の結晶、その3種類を用意しておくと良いでしょう。フランスで料理の仕上げに塩をのせるのは、塩味だけでなく、そのカリッとした食感も含めて楽しむためです。
 天ぷら作りでは、衣に塩を入れることもありますが、レシピを紹介した野菜やチーズの天ぷらでは、衣に塩は入っていません。衣に塩を入れると、時間が経つと、野菜が塩で柔らかくなってしまいますので、食べる時に塩を振ってもらうようにしました。それも異なる色と香りを纏ったフルール・ド・セルにすることで、色でも香りでも楽しめます。日本的な抹茶、スパイシーなカレー粉、最近フランスでも流行っているスモークしたパプリカのパウダーを使いました。揚げる材料も、アーティチョーク、チーズなど、あまり天ぷらのネタとしては馴染みのないものも使ってみました。材料も塩も、いろいろと変えることで楽しみが増します。
 フルール・ド・セルは、カリッと当たる食感もおいしさの一つですが、粒が大きすぎると感じるような時は、少しすりこぎ棒などで叩いて粒を崩すと良いでしょう。ただし、あまり細かくするとフルール・ド・セルの食感がなくなってしまいます。また、手を使って摘んでかける場合、少し潰すように揉めば、ほど良い状態になります。

料理研究家・脇雅世氏インタビューにより構成

エリンギ
エリンギ
アペラシオン・ミュスカデ
アペラシオン・ミュスカデ