マスタード入門講座:最高のフレンチ・マスタードに出会うには

By Teddy Minford

ディジョンマスタードはシンプルな調味料でありながら、どんな料理の味も引き立ててくれます。
このマスタードがそんなに特別なのはなぜでしょう?

Mustard 101: Where to Find the Best French Mustards

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マスタードシードは中国およびインダス川流域で紀元前4000年から栽培されています。マスタードシードとビネガーを混ぜて作られるマスタードは古代ローマ時代から出回っています。
マスタードの最初のレシピは4世紀もしくは5世紀に書かれたローマ時代の料理書「De Re Coquinaria(料理の題目)」に登場し、マスタードシード、胡椒、はちみつ、ビネガーの他、様々なハーブのブレンドで作るマスタードのレシピが紹介されています。
マスタードがパリに登場したのは10世紀のこと。サン=ジェルマン=デ=プレの僧侶が、輸入されたマスタードシードを使用して独自の混合調味料を作ったことから始まります。13世紀には、ディジョンがマスタード生産の中心地となり、モーとともに世界的なマスタードの名産地として知られるようになりました。
マスタードレシピに関する規制がはじめて導入された14世紀以来、マスタードはフランスで愛され、歴代の教皇や王たちは専属のマスタード職人を任命するほどだったと言います。また、王族に限らず庶民にも今日に至るまで愛され続けています。

フランスはディジョンマスタードで有名ですが、粒マスタードやハニーマスタードなど、フランス独自のさまざまなフレイバー、スタイル、バリエーションが存在しています。
おなじみの人気ブランドから、通好みのブランドまで一挙にご紹介します。

Pommery(ポメリー)

ストーンウェアでできた壺型の入れ物で知られる『ポメリー』の「ムタール・ド・モー(直訳すると、モー産マスタード)」は、1700年代からモーの街で作られています。ポメリーのオリジナルマスタードは、石挽きのマスタードで粒感があり、ディジョンマスタードよりも深く豊かな風味を持っています。従来のレシピに加えて、はちみつやコニャック、イチジク、トリュフ、グリーンペッパーなどを使用したマスタードもラインナップに並んでいます。より細かく挽いた、「フィーヌ」と呼ばれる伝統的なディジョンマスタードもあります。

出会える場所:一部の食料品店でもたまに見かけますが、専門店で注文できるほか、ポメリーのウェブサイトから注文することも可能です(ただしフランスからの送料は、おそらくマスタードより高くつくでしょう)
www.moutarde-de-meaux.com

 

© Pommery mustard

Bornier(ボルニエ)

スパイシーで鼻にツンとくる『ボルニエ』のマスタードは伝統的なディジョンマスタードで、200年以上前からフランスで作られています。種類は、定番のクリーミーな「ディジョンマスタード」、プチプチとした歯ごたえのマスタードシード入り「粒マスタード」、はちみつを10パーセント加えた「ハニーマスタード」の3つ。ディジョンマスタードと粒マスタードにはオーガニックタイプもあります。

出会える場所:Amazonや楽天市場などのオンラインショッピングサイトや、カルディなどの輸入食料品店で購入可能です。

 

Maille(マイユ)

おそらく最も有名なフランスのマスタードブランドである『マイユ』は、何世紀も前から存在しており、パリとディジョンの店頭でビネガーとマスタードを販売してきました。今では、マイユの二大定番とされる「ディジョンマスタード」と「粒マスタード」はどこの食料品店でも見つけられます。フランスでは定番マスタード以外に、トリュフ、グリルしたオニオン、クルミ、ペスト、ブラックカラントなどを使用したさまざまなタイプを見つけることができるでしょう。

出会える場所:お近くの輸入食料品店、またはオンラインショッピングサイトで購入できます。ボルドー、パリ、ディジョン、メルボルン、ニューヨークにはマイユの店舗があります。

www.maille.com

© Maille

Amora(アモラ)

『マイユ』から派生して生まれた『アモラ』は、フランスでもっとも人気のあるマスタードブランドのひとつで、あらゆる家のキッチンで見かけます。「フィーヌ・エ・フォルト(繊細で強烈、の意)」というキャッチフレーズの通り、通常のディジョンマスタードよりもずっとスパイシーです。さらに鼻を刺激するリッチでスパイシーな「エクストラ・フォルト(超強烈、の意)」もあります。『マイユ』や『ポメリー』などのブランドは美しいラベル付きの素敵な瓶(そしてそれにふさわしい価格)で売られていますが、アモラはよりシンプルなデザインが特徴です。フランスの食料品店では2ユーロ以下で売られています。

出会える場所:アモラはフランスのどのスーパーでも見つけられますが、フランス以外の国で見つけるのはなかなか難しいかもしれません。

 

Edmond Fallot(エドモン・ファロ)

エドモン・ファロは1840年から、ブルゴーニュの家族経営のマスタード工場でワールドクラスのマスタードを作り続けています。今日では、さまざまな種類とフレイバーのマスタードやビネガー、香辛料を販売しています。エドモン・ファロの伝統的なマスタードには、クリーミーな「ディジョン風マスタード」とマスタードシードを丸ごと使用した「粒マスタード」があります。それに加え、クルミ、バジル、はちみつ、イチジクといった特製フレイバーのマスタードも製造しています。

出会える場所:定番のディジョンマスタードと粒マスタードは輸入食料品店で取り扱いがある場合があります。また、Amazonや楽天市場などのオンラインショッピングサイトで購入可能です。ボーヌとディジョンに店舗があります。

www.fallot.com

 

© Edmond Fallot

Maison Pebeyre(メゾン・ペベイル)

フランスで最も古い家族経営のトリュフメゾンが作るマスタードはレアで、贅沢。それゆえ、入手は困難を極めます。1897年の創業以来、『メゾン・ペベイル』は高品質のトリュフで高い評価を得ており、洗練されたトリュフを世界中に出荷しています。そんなワールドクラスのトリュフを用いて、トリュフマスタードを始め、白トリュフオイル、トリュフマヨネーズ、トリュフ塩、トリュフハニーといったグルメ垂涎の製品を世に送り出しています。

出会える場所:最善の策はフランス食材の専門店を訪れることです。

www.pebeyre.com

 

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