シャンパン:セラーの産物、それともテロワールの賜物?

By Jérôme Berger

シャンパーニュは変化しています。多くの生産者からの働きかけにより、長年軽視されてきたテロワールの概念が注目されるようになっています。これは一過性の流行ではありません!今回はこのテロワールのアプローチについて解説します。 

“Bubbly”: A product of the cellar or the terroir?

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セラーこそが全て 

異なるブドウ品種や生産年のワインをブレンドし、二次発酵、そしてドザージュ…シャンパーニュの製造工程は、いわゆる「スティル」ワイン(非発泡)と比べて複雑です。そのため、シャンパーニュのメゾンや協同組合はブドウ畑よりもセラーでの作業を長年重視してきました。ブドウの品質はセラーで「修正」できると考えていたのです。それでうまくいっていたのです。シャンパーニュは、世界で最もよく知られたスパークリングワインとして経済的成功を収めており、そのことに疑問を呈する人はいませんでした。当時のシャンパーニュ地方は、伝統的なブドウ栽培技術を支持していたのです。  

 

オーガニック時代へ 

しかし、その状況はオーガニック革命によって一変しました。2000年代の初めに、環境や植物、ブドウに配慮したサステナブルな栽培手法が急速に開発され、アルザス、ラングドック、ローヌ、さらにはロワール地方へと瞬く間に広がりました。この動きはシャンパーニュ地方には至りませんでしたが、ここ10年で状況は変わっています。この変化を主導するのは、多数の「小規模」ブドウ生産者です。彼らの基本的な考え方は、有機農法の哲学を採り入れ、テロワールの特性を反映した、美しくて健康的なブドウを作る栽培法を用いること。
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・ブラン、そして特にオーブ地方では大胆な改革が進んでいます。  

 

新たなビジョン 

In the vines, these growers encourage microbes to grow こうした生産者は、ブドウ畑で土壌における微生物の繁殖を促し、ブドウの木が地中深くに根を張るようにしています。テロワールは地表だけに現れるものではありません。収穫されたブドウの特徴を忠実に反映したシャンパーニュとなるよう、もちろんセラーでの作業手法も適応させました。生産者たちが追い求めることはただ一つ、できるだけブドウに近いワインを造り、テロワールを余すことなく表現すること。それを実現するために行うのが、ドザージュ(補糖)の大幅な削減です。
ドザージュとは、デゴルジュマン(澱抜き)の後の工程で、ボトルから目減りしたワインを、さまざまな甘さのリキュールで補充します。「当代」のワイン生産者は、異なるアプローチを採用しています。ブドウの味わいやテロワールを損ねないよう、補糖を大幅に削減しますし、場合によっては全く補糖しません。これにより、「ゼロ・ドザージュ」、「ブリュット・ナチュール」、「ノン・ドザージュ」、「エクストラ・ブリュット」の表示のものが増えています。
現在、こうしたワインのフレッシュさ、バランス、明確なテロワールで、ワイン商社や世界の一流レストランのソムリエからも注目されるようになっています。 まるで、おとぎ話のようですね… 

テイスト・フランス・マガジンおすすめのテロワール・シャンパーニュ

シャンパーニュ ブノワ・ライエ - ヴィオレーヌ2015年(Benoît Lahaye - Violaine 2015)
ブノワ・ライエ氏は、モンターニュ・ド・ランスのブジーにある自身の畑で、有機農業とバイオダイナミック農法のブドウを栽培しています。 ここで造られる土の香りと調和のとれた味わいのワインの共通点は、溢れんばかりのエネルギー、石灰質の土壌がもたらすミネラル感、そして繊細な泡です。ピノ・ノワールとシャルドネをブレンドした「ヴィオレーヌ」は、この出自を完璧に表現しています。

シャンパーニュ リュペール・ルロワ - マルタン・フォンテーヌ
オーブにあるリュペール・ルロワ家は、バイオダイナミック農法を徹底的に実践し、畑の区画ごとの違いを表現したワインを造っています。マルタン・フォンテーヌは、ノン・ドザージュのシャンパーニュらしい素直な味わいで、テロワールとブドウの特性を非常に忠実に表現しています。柑橘類とフローラルの香りが特徴です。力強くエレガントな口当たりで、長くダイナミックな余韻を楽しむことができます。

シャンパーニュ ブルジョワ・ディアス - BD’3C
マルヌ渓谷ではあまり評価されていない地域でありながら、ジェローム・ブルジョワ氏は、粘土、石灰質粘土、砂質土壌など、畑が持つさまざまなテロワールから、シャンパーニュの3大品種(ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ)をブレンドし、成功しています。 アピールポイントは、本質的に複雑ながら直接的で、贅沢でそそられる味わいを持ち、もう一杯飲みたくなるようなワイン造りです。

シャンパーニュ ラルマンディエ・ベルニエ - テール・ド・ヴェルテュ
ブドウ栽培の模範的な厳格さ、正確で無駄のないワイン醸造 - ソフィーとピエール・ラルマンディエ夫妻が経営するこのドメーヌは、コート・デ・ブランの中でも興味深い造り手の一つです。テール・ド・ヴェルテュは、このドメーヌの定番ともいえるシャンパーニュです。中斜面のテロワールから生まれ、塩分と味わいのバランスをとりつつ、非常に直接的かつ繊細さを合わせ持っています。 素晴らしいシャンパーニュです!

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