ロゼワインの世界では、「すべてのロゼが同じように作られている」のではありません。一般に信じられていることとは裏腹に、ロゼは想像以上に複雑なスタイルを持つワインです。ロゼワインは、世界中の地域で、数え切れないほど多くのブドウ品種から造られ、その色合いを生み出す様々な醸造技術が用いられています。よくわからないという方のために、ご説明しましょう。
ロゼワインを色付けする主な方法は3つあります。直接圧搾法、セニエ、そしてアッサンブラージュ(ブレンド)法です。これらの手法によって、濃淡さまざまなピンク色で食卓が彩られ、変化に富んだ風味を持つ、多種多様なワインが生み出されています。以下に概要を説明します。

Rose

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直接圧搾法 

最も一般的なロゼワインの製法が、直接圧搾法です。この技法は、まさにその名の通り。ぶどうを摘んでワイナリーに持ち帰ると、すぐに圧搾して果汁を搾り出します。果汁が果皮に触れている時間によって、ワインの色が決まります。果皮との接触時間が長ければ長いほど、最終的にロゼの色は濃くなります。
フランスの一部の地域、特にプロヴァンス地方では、この製法を用いて、果汁を果皮に触れさせずに作ったワインを「ヴァン・グリ」(グレーワイン)と呼びます。つまり、素早く搾汁して果汁だけを取り出し、果皮との接触を避けることで、非常に淡い色合いの果汁が得られるのです。

セニエ 

セニエ法は、発酵中の赤ワインから果汁の一部を抜き取って、ロゼワインと赤ワインの2種類のワインを造る方法です。この技法は、ワインメーカーがすでに醸造中の赤ワインの濃度を高めようとするときに用いられるもので、そのために赤ワインから果汁の一部を抜き取ります(セニエとは、フランス語で「血抜き」を意味します)。
この「抜き取った」ワインをロゼとして醸造・瓶詰し、残りの凝縮が進んだ、より濃厚な赤ワインは別途、瓶に詰められます。

アッサンブラージュ(ブレンド)法 

その名の通り、赤ワインと白ワインをブレンドしてピンク色のワインを造る製法です。世界の多くのワイン生産地では軽視されている手法ですが、シャンパーニュ地方では使用が認められ、盛んに用いられています。
シャンパーニュ地方の過酷な気候条件では、通常、黒ぶどうが最適な熟度に達するのは非常に困難です。そのため、シャンパーニュ地方のワインメーカーには、瓶詰したシャンパンの、あの理想的なピンク色を出すために、シャンパンのボトルに少量の赤ワイン(通常はピノ・ノワール)を加えてロゼ・シャンパーニュを造ることが許可されています。ただし、このテクニックをご家庭で試すことはお勧めしません!

© ©Gilaxia

製法の違いはさておき、他のどのスタイルのワインと比べても、ロゼほど固定観念にとらわれた見方をされがちなワインはありません。ロゼワインを飲むときには、以下のことに留意してください。

すべてのロゼが甘口というわけではない 

一般に信じられているのとは異なり、ほとんどのロゼワインが超辛口です。その一方で、大半のロゼワインは果実味が強く、イチゴ、シトラス、スイカなどのようなフルーティな風味があります。甘みとワインとの関係については、甘みはワインの残糖量によって決まります。残糖量がほとんどないワインは、当然ながら甘みがありません。甘口のロゼワインも確かに存在しますが、実は、市場で売られているロゼワインのほとんどが甘口ではないのです。

さらに、色の濃淡イコール甘さの強弱ではない 

ロゼワインに関する最も一般的な誤解のひとつは、色の濃いロゼの方が色の薄いロゼよりも甘いとされていることです。これほど真実からほど遠い認識もないでしょう!赤や白と同様に、ワインの色合いは決して残糖度を示すものではありません。また、色調とロゼワインの品質についても相関関係はありません。つまり、ロゼワインの色の濃淡によって品質の良し悪しが決まるというわけではないのです。 

ロゼワインは「格下」ではない 

ロゼワインは、白ワインや赤ワインと比べて「格下」に見られがちです。でも、私たちはこの見方には同意しかねます。適切な生産者によって造られたロゼワインは、最も示唆に富み、美味で、テロワールを想起させるワイン体験を提供してくれるからです。
信頼できる生産者が造る上質のロゼワインは、セラーでの長期間の保存にも耐えることができます。結局のところ、果実の品質、信頼性の高い農法、そして細部までこだわった丁寧な醸造に尽きます。何から始めればいいかわからない方は、まず、有機農法を採用していて信頼できる生産者を探すことから始めてみてください。そうすれば、きっと正しい方向へと導かれていくはずです!

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