近年、フランスワインの色合いが今までに増して充実してきています。今注目の「オレンジワイン」について解説します。
オレンジワインの歴史は古代にまで遡ります。今から何千年も前、ジョージアなどのワイン発祥地では、「qvevri(クヴェヴリ)」と呼ばれる壺を地中に埋めてワインを熟成していて、そのワインはまさしくオレンジ色だったのです。長い間忘れ去られていましたが、近年、その自然な醸造の観点から見直され、イタリアに続きフランスのワイン界第一線にも戻ってきました。
オレンジワインのポイントは、マセレーション!
技術的には、オレンジワインとは白ワインを赤ワインのように醸造したものです。赤と白の醸造方法の主な違い。それは赤ではマセレーションがあり、白ではマセレーションがないことです。赤ワインの場合、破砕されたぶどうは圧搾される前にタンクに入れられ、ぶどうの皮や種、時には茎と接触することで、果汁に色が付きタンニンが生じます。白ではこうしたマセレーションを経ず、ぶどうをすぐに圧搾するのです。
このルールの最も顕著な例外が、「マセレーション白ワイン」とも呼ばれるオレンジワインです。マセレーション段階はある程度長く続き、果汁は「普通の白ワイン」よりもはるかに濃い色合いを帯び、控えめではあるものの存在感のあるタンニンの構造ができあがります。
多様なスタイルと、料理とワインの組み合わせ
Loire(ロワール)、Languedoc(ラングドック)、Vallée du Rhône(ローヌ渓谷)など、フランス各地のワイン生産者が、この製法を試すようになりました。そして、これはトレンド、ファッション、ただの目新しさにとどまりません。
栽培者、テロワール、ぶどうの品種、マセレーションの強さ、熟成容器などによって、その構造、新鮮さ、持続性の間に貴重なバランスが生まれ、それぞれのオレンジワイン独特のアロマが生まれます。オレンジワインはワインの立派な1カテゴリーであり、そこには幅広い可能性が潜んでいるのです。
新鮮なフルーツ、ドライフルーツ、フローラル、ベジタブル、ローストされた苦みのある香りなど様々な香りが、スパイシーな料理やエキゾチックな料理、甘辛料理、魚料理、一部のハードチーズや砂糖の控えめなデザートともよく調和します。
オレンジワインを飲むときは温度に注意してください。短時間の軽いマセレーションを経ている場合は白ワインのように冷やして、しっかりしたタンニン構造を持ち力強い場合は赤ワインと同じ温度で楽しみましょう。
ぜひ、こうしたオリジナルなワインを試してみてください。あなたのお好みで!
テイスト・フランス・マガジンのオーガニック・セレクション
Château Lafitte – Jurançon - « Orange » 2019(シャトー・ラフィット、ジュランソン、「オレンジ」 2019年)
ジュランソンのシャトー・ラフィットによる、21日間のマセレーションを経て何も加えずに醸造され、アンフォラで熟成させた非常に良質なキュヴェです。このワインには繊細さと芯があり、繊細なタンニンを感じさせます。
Mas del Périé – Vin de France - « Orange voilée » 2019(マス・デル・ペリエ、ヴァン・ド・フランス、「オランジュ・ヴォワレ」2019年)
Cahors(カオール)のワイン生産者、Fabien Jouves(ファビアン・ジュヴ)氏のこのワインは、シュナンだけを使っています。オレンジワインの魅力である繊細さと力強さのバランスをお楽しみください。
Domaine Viret – Vin de France – « Dolia ambré » 2016(ドメーヌ・ヴィレ、ヴァン・ド・フランス、「ドリア・アンブレ」2016年)
ローヌ渓谷南部にあるこのドメーヌでは、フランスでもいち早くオレンジワインを造り始めました。3ヶ月もの長いマセレーションを経たこのキュヴェは、スパイスやバラの香りが際立つ、驚くほど複雑なアロマを受け継いでいます。全体的によく構成されており、力強くても重さは感じさせません。
Domaine Laurent Bannwarth – Vin de France – « Qvevri » 2016(ドメーヌ・ローラン・バンワース、ヴァン・ド・フランス、「クヴェヴリ」2016年)
Alsace(アルザス)ワインをジョージア産テラコッタの瓶で醸造・熟成した後、8ヶ月ものマセレーションを経て生まれるワインです!長い時間をかけて静かに造られるこのワインの個性は、活力と深み、エレガントかつ豊かな香りの色調にあります。