季節ごとのフランスチーズの楽しみ

By Tsuyoshi Murakami

フランスのチーズは種類が大変多く、一年中、毎日違うチーズを食べても全部は食べ切れないとまでいわれています。

 

 

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 山羊乳で作られるシェーブルは春から初夏、チーズの王と称えられるウォッシュタイプを代表するエポワスは夏から秋、モンドールはクリスマス、コンテなどの山のチーズは冬といった具合にフランスのチーズには季節感があります。

 例えば、同じシェーブルでも、春先はフレッシュなものが出てきてすぐなので、それをそのまま味わうのが良いでしょう。フレッシュなものは蜂蜜と合わせてもおいしいですよ。

 ご提案した「シェーブルを使った日本の初夏のチーズプレート」は、和の食材と組み合わせながら、シェーブルの爽やかな味わいが楽しめる一皿です。

 少し苦味のある食材、ゴーヤ、もう一つはスモークの香りのある食材、いぶりがっことの組み合わせです。日本人に馴染みのある風味、味わいと組み合わせてシェーブルを味わってもらおうという提案です。日本人は、お酒のつまみのように、前菜のようなタイミングでチーズを食べることが多いので、そのような食べ方にあった料理です。

 日本人は、山羊乳のチーズに対して、匂いが強いという印象を持っています。実際はそうでもありませんが、蜂蜜は匂いを緩和し、また、今回使った味噌も香りを穏やかにしてくれます。

 熟成したシェーブルも味わい深いものです。秋口になるとシェーブルは焼いて食べてもおいしくなります。シェーブルは、カマンベールタイプのチーズを食べ慣れた人には、少しポロポロした感じの食感で、滑らかさやクリーミーさに欠けて敬遠されがちですが、加熱して味わうと食感が良くなります。焼くとトロッとして、パンにのせてサラダと一緒に食べてもらうと、とてもおいしい食べ方になります。

 シェーブルに限らず、チーズは加熱するとトロッとしてよりおいしく食べられるようになります。和風にカマンベールを天ぷらにしても良いですし、グラタンの上にカマンベールを乗せて、一緒に焼いて味わってもおいしいですよ。

 コンテやトムなど山のチーズは、残ったらチーズフォンデュのように溶かして味わいましょう。白カビチーズもシェーブルも、一緒に溶かしてフォンデュを楽しみましょう。ナチュラルチーズは全て加熱すれば溶けます。どんなチーズでも良いので、冬の寒い時期は、野菜やパンにつけて、鍋を楽しむようにフォンデュにしましょう。

 フランスチーズは、カルシウムも豊富で、身体にも良い食品です。食べやすく、消化吸収も良く、年配の方にもおすすめの食品です。

(料理研究家 脇雅世氏インタビューにより記事構成)

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