ワイン

How To IGP ペイ・ドック ~ 品種ワインの秘密その1

山本真紀 山本真紀 , ワインライター 2021.11.30
山本真紀さん_ペイ・ドック1
協力:  PAYS D'OC IGP

「今日のワイン、IGPペイ・ドックにする?」
ワインが好きになると、いつのまにか何度も登場するのが「IGPペイ・ドック」というワード。
だって、カジュアルで親しみやすく、品種ごとに選ぶ楽しみもあるフランスワインなんですから。

フランスの南、地中海の一部に接したラングドック・ルシオンというエリアで産出されるIGPペイ・ドックワインは、フランス人にとっても、日本人にとってもいわゆる「定番ワイン」として常に高い人気をキープしています。
「人気だけでなく品質も毎年安定しているのが、IGPペイ・ドックワインのいいところ」
と指南してくれるのは、世界中のワインを知り尽くしているソムリエの大越基裕さん。
「『あれ、今年は酸っぱいな?』なんていう、年ごとの変化はほとんどありません。フランスでは、ラングドック・ルシオンから遠く離れたパリでも、IGPペイ・ドックワインがよく飲まれているんですよ」

世界中のワイン産地を見ると、毎年品質を安定させられるのは大規模なワイナリーが中心。けれど、IGPペイ・ドックワインのぶどう畑では、小さなワイナリーでも一定のクオリティが保たれるのだそうです。
折々で季節風が吹き、シーズンごとのメリハリがありながら、全体的には温暖で気候が安定しているラングドック・ルシオンならではのマジックと言えましょう。

ぶどうがよく熟し、フルーティな味わいのワインになりやすい。とはいえ、同じように温暖なエリアで産出される他国のワインほど、果実感やアルコール感が前面に出ることはありません。『エレガントな世界観でまとまっている』というフランスらしさがあるんです」(大越さん)

オーガニックワインの先駆的産地

IGPペイ・ドックとラベルに記されたワインは、その品質と原産地を消費者に保証ているワインです
昔はヴァン・ド・ペイ(地酒)、2009年以降IGP地理的表示保護)のひとつとして、産地だけでなく使うぶどうの種類、収穫量、醸造方法までカイエ・デ・シャルジュ(仕様書)できちんと定められているのです。
いっぽう、生産者たちの自由度が高いところもポイントです。「シラー種だけでワインを造ろう」「うちは数種類ブレンドしてみようか」など、生産者たちは自由にぶどうを選びつつ、IGPペイ・ドックワインらし表現を探求してきました。

「フランスで生産されるビオワインのうち3分の1ラングドック・ルシオンが占めていることも特長。これは、全世界のビオワイン生産量の7%に該当します」と大越さん。
環境や人にやさしいオーガニック栽培は全世界のワイン産地で広まりつつありますが、
ラングドック・ルシオンが先頭を切ってオーガニックに力を入れてきたのは、とてもいいこと。『有機は身体にいいから』という理由だけでなく、先祖から受け継いだ畑を子孫へ残していくためというサスティナビリティな考え方に続き、皆がハッピーになれるんです」。

有機栽培でぶどうを栽培できるかどうかは、気候条件に大きく左右されます。その点、南フランス、特にIGPペイ・ドックワインのぶどう畑は有機栽培に適した気候に恵まれ、他産地に比べて病虫害の悩みが少なく、減農薬や無農薬でもスクスクとぶどうが育ちやすいのです。

山本真紀さん_ペイドック2
  • 国内外の観光客も地元ワインに満足

    IGPペイ・ドックワインを産出する銘醸地ラングドック・ルシオンには、もうひとつの顔があります。
    地中海性の温暖な気候で山と海がどちらも近い、とくれば、フランス内外から訪問客を引き寄せるリゾート地としても絶大な人気を誇るのです。
    フランスに住んでいたこともある大越さん曰く、
    「寒い内陸部に住んでいると、長い休みの間は暖かいエリアでのんびり過ごしたくなります。ラングドック・ルシオンの沿岸で太陽に当たりながら、郷土料理とカジュアルなIGPペイ・ドックワインでゆっくりと楽しむんです。スペインに近いため、フランスにいながら異国情緒を感じられる土地柄。郷土料理には、スペイン風のシンプルな料理もありますよ。あと、このあたりでは保存状態の良い歴史的名所の見学も出来ます。ユネスコ世界遺産に登録されているカルカッソンヌの城塞都市、私も行ったことありますが、見応えありました!」。
    歴史を感じられるスポットが数多くあることから分かる通り、古くから文明が築き上げられていたラングドック・ルシオン。もちろんワイン産地としての歴史も古く、ワイン造りの技は紀元前にギリシャから伝播されました。

    フランスではまずIGPペイ・ドックワインのぶどう畑がある地中海沿岸でぶどうの栽培が始まり、、それからフランス全土へと伝わっていった経緯があります。
    つまり、IGPペイ・ドックワインは、フランス最古のぶどう畑から生まれたワインと言えるのです。

    歴史に裏付けされたIGPペイ・ドックのワインが、今や遠い日本でカジュアルに楽しめるなんて、考えてみればちょっとしたミラクル。
    旅情を誘い食欲もそそるIGPペイ・ドックワイン、自宅用ワインの最有力候補に躍り出ます!

    山本真紀さん_ペイ・ドック3
  • IGP ペイ・ドックワインを紐解く6つのナンバー

    Key figures - Pays d'Oc 1
  • ペイ・ドックのワインをもっと知りたくなったら
    公式HP 
    https://www.paysdoc-wines.jp/home

    ナビゲーター
    大越基裕さん
    ワインテイスター/ソムリエ
    フランス料理店「銀座レカン」でシェフソムリエを勤めた後、独立。フランスをはじめ世界中を回って得た経験や知識をもとに、ワインコンサルタントや店舗ディレクターとして活躍。

    また外苑前にモダンヴェトナミーズレストランAn Diも経営する。

    桜の花の塩漬
    桜の花の塩漬
    AOP ロックフォール
    AOP ロックフォール