手軽に使えるレンズ豆を和食に生かす

By Tsuyoshi Murakami

レンズ豆の美味しい料理方法がわからない…?実は、簡単にお料理できる、和食にもよく合う食材なんです。

Lentilles

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レンズ豆は、扁平な凸レンズのような形をした豆、古代エジプトでも食べられていたというこの豆が、実はレンズの語源なのです。フランスでは、中央部オーベルニュ地方のル・ピュイ産が有名で、AOP(原産地名称保護)認証を得ています。ル・ピュイ産は、小粒で緑色をしており、この土地の栽培に適した気候と火山灰土壌が質の高いレンズ豆を生み出しています。

レンズ豆は、通常の乾燥豆のように水に浸けておく必要がなく、とてもインスタントに使える豆です。短時間下茹でし、一度茹でこぼすだけで大丈夫。アクは出るので、茹でこぼしは必要です。料理としては、20分から25分程度で煮上がります。フランス料理では、レンズ豆を香味野菜やハーブ類などと一緒に煮ますが、紹介したカジキの料理では、出汁で煮て、人参や小タマネギを加え、みりんと醤油で味を調えました。

日本では、豆は身体に良いといわれていますが、レンズ豆はあまり使われません。古代から食されてきた豆です。栄養価も高く、スープにしても良いし、とにかく、水に浸けずに簡単に利用できる豆だというところを知ってほしいと思います。

日本人は、豆は柔らかく煮て、砂糖を入れて、甘くするのが好きです。レンズ豆は、お汁粉にしてもおいしくいただけます。ル・ピュイ産の緑のレンズ豆は、ほとんど煮崩れないので、プチっとした食感を生かした料理に合います。ですから、お汁粉にする時も、普通に固めに炊いて、半分ぐらいを潰して、半分ぐらい粒を残すと、食感の違いも出て、よりおいしくなると思います。
オレンジ色のレンズ豆は、皮をむいてあります。煮るとすぐにドロドロになります。ポタージュのような料理を作るのにはオレンジのほうが向いています。
最近では、レンズ豆のスプラウトもサラダの材料などとして注目されています。
他には、フラジョレ豆も和食に使ってもおもしろい豆だと思います。小さな空豆のような形をした緑色のインゲン豆です。和食では、浸し豆などにすれば、枝豆とは少し違った感じの料理になるでしょう。南仏の地方料理、カスレに使われる白インゲン豆は、和食の煮豆にしてもおいしくいただけます。

(料理研究家・脇雅世氏インタビューにより構成)

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