人類と動物にとって持続可能なタンパク源となる昆虫食は、未来の食糧問題の解決策になりそうです。フランスでこの分野の開拓に勤しむ3つの企業、Ÿnsect(インセクト)、Innovafeed(イノヴァフィード)、Agronutris(アグロニュートリス)の活動をご紹介します。

The food of the futur is on the move

昆虫は、大豆を上回る、非常に高いタンパク質含有量を誇ります。 

天然資源の枯渇、地球温暖化の影響、人口増加による課題を考慮すれば、昆虫は従来の動物性タンパク質に代わる持続可能な選択肢だと国際連合食糧農業機関(FAO)は見なしています。フランスは昆虫食の先進国であり、Ÿnsect、Innovafeed、Agronutrisの大手3社が農業、水産養殖、人間栄養の分野で革新的なソリューションを提供しています。 

 

Ÿnsect:持続可能な農業の新境地を開拓 

 

Ÿnsect社は、持続可能な農業や昆虫を利用した農業の分野で新境地を開拓するパイオニアとして知られています。この革新的な企業は「フードシステムの革命は望ましいだけでなく、地球の未来にとって不可欠だ」という信念のもとで、人間、動物、植物の食物連鎖のあらゆる段階でソリューションを提供しています。 
昆虫飼育に対するŸnsectの取り組みは、まさに時代の先端を行っています。高度なロボット工学、コンピュータービジョン、AI技術を駆使した最先端の垂直農場で、2種類のカブトムシを飼育しています。 

 
さまざまな大学の研究によると、カブトムシ由来の製品は、高品質のタンパク質を含む代替食であり、人間のコレステロールや消化を改善するという健康効果を持つスーパーフードでもあります。 
Ÿnsect社は植物・作物分野の最前線で、カブトムシの糞から天然肥料を開発しました。これは、農業に使用する従来の天然肥料と化学肥料のどちらよりも優れています。 

ペットや家禽類についても、カブトムシをベースとした餌を与えれば、より早く、より健やかに成長し、アレルギーのリスクを最小限に抑制できることがŸnsect社の研究で判明しました。 

 

アメリカミズアブのタンパク質を使用した持続可能な水産養殖とペットフード 

 

Innovafeed社も、昆虫を利用した養殖ソリューションを専門とするフランスのパイオニア企業です。魚粉を主な飼料とする現在の養殖モデルは、増大する需要に対応するのが難しくなりつつあります。 
そこでInnovafeed社は、アメリカミズアブ(Black Soldier Fly、BSF)から抽出した昆虫タンパクを独自に開発しました。これは、養殖に必要な栄養が豊富なうえに、そもそも自然の摂理にかなった飼料でもあります。野生のマスが食べている餌の70%は昆虫なのです。しかも、それだけではありません。 2018年、Innovafeed社は養殖業界のさまざまな関係者と協力して、昆虫タンパク質で栄養を補給した世界初のマスをフランスの消費者に紹介。この取り組みは、フランスの小売チェーンAuchanを通じて推進されました。 

 

Agronutris社は、昆虫の飼育と飼料用タンパク質への加工を専門とするバイオテクノロジー企業です。Innovafeed社のように、高品質のタンパク質源としてBSFを使用することで差別化を図っています。BSFは従来のタンパク源とは異なり、栄養が豊富でありながら、持続可能性も確保できるという特徴があります。必須アミノ酸がたっぷりと含まれているうえに、環境への影響を最小限に抑えながら効率的に生産できます。 

 

昆虫タンパク質を取り入れたフランスの美食は、持続可能な食の革命? 

 

昆虫由来の飼料を使用することが世界的な課題を解決する方法であるならば、美食を大切にするフランスのような国でも、料理に昆虫を取り入れようとする流れがあるのではないでしょうか?  

食と持続可能性に対する取り組みが進化していることを考えると、昆虫タンパク質がフランスの食卓に並ぶ未来もますます現実味を帯びてきます。Ÿnsect社で広報担当ディレクターを務めるAnais Maury氏は次のように述べています。「20年前のフランスでは、生魚を食べるという発想が一般的ではありませんでしたが、いまや受け入れられ、とても人気があります」 

 

食料安全保障と環境に配慮した選択が最優先される昨今、イノベーションはとどまるところを知りません。フランスでは、食の革命が今まさに進んでいます。 

 

 

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