ミシュランガイドのサステナブルな指標「グリーンスター」

By Valentine Benoist

世界中の食通にとって、ミシュランガイドは各国の高級料理を紹介する究極の道標となってきました。しかし、現在では厨房におけるサステナビリティも極めて重要な要素となっています。この記事では、ミシュランの星付きレストランの取り組みと、あのイメージキャラクター「ミシュランマン(正式名称:ムッシュ・ビバンダム)」のサポートについてご紹介します。

Michelin star chef

ミシュランガイドの歴史を少々… 

 

1899年、オーヴェルニュ地方のクレルモン=フェランでアンドレとエドワール兄弟がタイヤメーカーのミシュラン社を創業。ミシュラン兄弟はドライバーが旅を楽しめるよう、実用的な情報や地図を入れたハンドブックを作ったのです。1920年代には有料版の販売が始まり、ホテルやレストラン情報が記載されるようになりました。

 

このガイドは瞬く間に「優秀なもの」の代名詞となり、料理界に大きな変化をもたらしました。現在では、24か国で4万件のレストランを調査し、世界全体での販売部数は3,000万部以上となっています。

 

「グリーンスター」の誕生:先駆けは接客のホスピタリティ 

 

先見性のあるシェフたちが、より環境に配慮したホスピタリティを提唱するようになり、ミシュランガイドはサステナビリティに根ざした店に注目するに至りました。こうして2021年、「グリーンスター」が誕生したのです。

それでは、TFM編集部イチオシの、エコ・ガストロミーの頂点に立つシェフの方々をご紹介します。

© Philip Ducap

3つ星を持つイタリア系アルゼンチン人シェフのマウロ・コラグレコ氏については、あえて人物紹介などは必要ないでしょう。コラグレコ氏の3つ星「ミラズール(Mirazur)」は、初めてプラスチックフリー認証を取得したレストランで、常にサステナビリティの最先端を走ってきました。フレンチ・リヴィエラの海辺、香り高いIGP マントン産レモンで有名な街にあるこのレストラン。メニューの基本はバイオダイナミック農業の要素です。生物多様性のためのユネスコ親善大使に任命されたシェフが、今取り組んでいることとは。レストランと料理学校に教育農園が付属する17ヘクタールのプロジェクトです。

 

https://www.mirazur.fr/ 
https://www.instagram.com/restaurantmirazur/ 
https://www.instagram.com/maurocolagreco/ 

© John Troxell

サンフランシスコを拠点とするフランス人シェフで、「トップシェフ」の審査員にも名を連ねるドミニク・クレン氏は、サステナブル農業を強く支持しています。クレン氏は米国で初めてミシュランの星を獲得した女性シェフです。自身が運営する再生型農場「ブルー・ベル・ファーム」で、3つ星レストラン「アトリエ・クレン」と1つ星レストラン「バー・クレン」の食材を栽培しています。また、最近パリにオープンした「ゴールデン・ポピー」では、フランスの旬の野菜や魚介を使った料理を提供しています。

 

https://www.instagram.com/dominiquecrenn/ 
https://www.6play.fr/top-chef-p_872 
https://www.ateliercrenn.com/ 
https://www.barcrenn.com/ 
https://goldenpoppy.com/ 

© PhilippeErard

ブルターニュと日本のレストランの架け橋である「ブレッツ・カフェ」のベルトラン・ラーシェ氏。今では、両国で合計32店舗ものレストラン、クレープ料理店、デリショップを経営し、ブルターニュの味を提供しています。ラーシェ氏は自家畑でソバを有機栽培し、IGP ブルターニュ産そば粉を自ら生産しています。カンカル湾を見下ろすレストラン「ラ・ターブル・ブレッツ・カフェ」(1つ星)では、ブルターニュ地方の伝統的な食文化と日本の料理技法を取り入れ、双方の食文化を尊重した料理を提供しています。

 

https://www.breizhcafe.com/ 
https://www.instagram.com/breizhcafe_fr/ 

最後に、パリに初のレストラン「ダティル」を開店し、わずか6か月でミシュラン1つ星を獲得した、元フェンシング選手のマノン・フルーリー氏をご紹介します。

「ダティル」の料理は、エコロジー、食料自給、廃棄物管理を提唱する政治的表現となっています。大部分がプラントベースのメニューは、あまり知られていない食材に光をあて、フラットな厨房チームが新境地を開いています。

 

https://www.datil-restaurant.fr/ 
https://www.instagram.com/datil.restaurant/ 
https://www.instagram.com/manonfleury__/ 

 

このように、グリーンな未来はすぐそこまで来ています!

先駆的なシェフたちは、卓越したガストロミーと環境意識は両立可能であることを実証しています。時代を映す鏡として、レストランガイドもこうした動きを取り入れていかなければなりません。

Contributor

Valentine Benoist
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