2023年に訪れたいフランスの地方:晩秋編「コート・ドール」 

By Vicki Denig

テイスト・フランス誌が選ぶ「2023年に訪れたいフランスの地方」では、美食の観点から訪れるべき最高のバカンス先を取り上げています。当誌編集部は年間を通じて、昔から愛されている行き先から知る人ぞ知る土地まで、フランス国内の魅力的な観光地を周りながら、各地のグルメを紹介しています。

Our Top French Regions to Visit in 2023: Fall Edition - Côte d’Or

フランスのグルメとワインのファンなら、誰でもブルゴーニュ地方の美食をご存知でしょう。フランスの東部にあるブルゴーニュ地方は、世界に名だたるワインと素朴な郷土料理で人気があり、多くの見所に恵まれているほか、美味しいグルメも満載。この地方のベストシーズンは秋です。今回は同地方のコート・ドール県をクローズアップし、おすすめのスポットのほか、地元の名産品や味をご家庭に取り入れるためのヒントもご紹介します。

コート・ドールの基礎知識

コート・ドール県はフランス語で「黄金の斜面」という意味で、ディジョンからオート・コート地区のマランジュまで広がる石灰岩の広大な傾斜地です。長さ65 km、幅12 km程度の細長い地形で、北部のコート・ド・ニュイと南部のコート・ド・ボーヌの2つの地域からなります。

コート・ドール県では何世紀も前からブドウが栽培されており、現在では世界でも指折りの高品質ワインの産地として有名です。コート・ドール産ワインのアペラシオン(原産地呼称)の多くは、グラン・クリュやプルミエ・クリュといった特別な畑に指定されていますが、これ以外にもブルゴーニュ・ワインと分類されるワインが多くあります。

コート・ドール県は、ジュラやオーブ(シャンパーニュ地方)、ソーヌ・エ・ロワールといったワイン生産の盛んな県と隣接しています。これらの地域は全般に、夏は暑く冬は寒い大陸性気候に属しています。コート・ドールの土壌は、大部分が石灰岩ですが、粘土質も豊富に含まれています。

コート・ドールへのアクセス

パリからコート・ドール県へは交通の便が良く、高速鉄道TGVに乗れば1時間40分でディジョンに到着。そこからボーヌまでは在来線で20分です。または、パリからボーヌまで直通の急行列車(所要3時間半)もあります。「光の都市」リヨンから周遊する場合は、リヨンからアクセスすることもできます(リヨンについては、また別の回で)。

コート・ドールの名物グルメ

フランスはどの地方にも、その土地ならではの郷土料理とワインがあり、ブルゴーニュも例外ではありません。名物料理には、エスカルゴや自家製テリーヌ、ふわふわのグジェール、ブルゴーニュの名を冠したブフ・ブルギニョン(牛肉のブルゴーニュ風)などがあります。チーズは、エポワスやデリス・ド・ブルゴーニュ、ブリア・サヴァランなどのクリーミーなソフトチーズが有名です。ブドウは、シャルドネとピノ・ノワールが2大品種ですが、アリゴテやガメイなども一部で栽培されています。

コート・ドールに泊まる

コート・ドールには多くの宿泊施設がありますが、ボーヌを拠点にすると、代表的なワイナリーや市場、レストランへのアクセスが容易です。高級ホテルなら、L’Hôtel de BeauneHostellerie Cèdre & Spaが良いでしょう。居心地の良いB&Bなら、駅から数分のl’Imprimerieがおすすめ(ボーヌで最も美味しいコーヒーも楽しめます)。

コート・ドールでのおすすめ観光スポット

コート・ドールには郷土料理やワインのほかにも、さまざまな見所があります。Taste France Magazineのおすすめスポット 

  • オスピス・ド・ボーヌのオテル・デュー美術館を見る
  • シトー会修道士が暮らしていたフォントネー修道院を訪ねる
  • 美しいブドウ畑を自転車で周る
  • ボーヌ土曜市で旬の食材や地元の特産品を買う
  • ブゼーズ公園でピクニック
  • ディジョンのリュード美術館で彫刻を鑑賞する
  • 美しいグラン・クリュ街道巡り(ワイン好き必見)

おすすめの季節は? 

コート・ドールはいつ訪れても素晴らしい観光地ですが、なかでも秋は格別です。気温が下がって収穫が本格化し、ブドウ畑が色づき始める9月下旬から11月上旬が、この地方の美しさが最も際立つ季節です。コート・ドールを訪れるなら、暑くて混み合う夏の時期や、寒さが骨身にしみる冬ではなく、秋がベストシーズンだと言えるでしょう。

 

コート・ドールの味を自宅で楽しむ方法

コート・ドールでワインをたらふく飲んで美味しいレストランを食べ歩くのが夢だとは言え、今年の秋は無理そうですか?ご心配は無用です。コート・ドールの収穫の秋の雰囲気を自宅で再現する方法はたくさんあります(費用も国際線の航空チケットの値段よりも安く済みます)。

友人を集めて、ブルゴーニュ風の収穫の宴を開いてみましょう。ブルゴーニュ地方の多くのワイナリーは、収穫を手伝ってくれた友人や家族、季節労働者のために収穫の宴を開きます(それは夜更けまで続く長い宴です)。たっぷりのワインはもちろん、何日も収穫作業に従事した人々のお腹をいっぱいにできるような、愛情たっぷりの大皿料理が振る舞われます。しかし、今夜はパーティーです。

ブルゴーニュ地方の代表的料理とされる定番のブフ・ブルギニョンは、実は意外と簡単に作れるのです。こちらのレシピを参考に作ってみましょう。野菜料理を付け合わせに、そして自家製デセールを作るのも良し、近所のフレンチ・ベーカリーで調達するのも良し)。ワインは、ブルゴーニュの赤か白(むしろ両方)を用意すれば、料理との相性も完璧です。仕上げは、照明を落とし、お気に入りのフレンチ・ジャズをかけて、秋らしいキャンドルを灯せば、コート・ドール風の収穫の宴の準備は完了。

彩り豊かでアットホームな晩秋をお楽しみください!(テイスト・フランス編集部一同より)

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