鶏や豚、牛さまざまな方法で飼育する有機農家が増えています。フランス地域から昔ながらの品種や固有品種を選んで育てることで、地域の伝統を引き継ぎ、高い水準の味わいを復活させているのです。

Reconnect with taste and biodiversity

乳牛ではプリム・ホルスタイン種、豚ではラージ・ホワイト種、また養鶏では赤鶏というように、集約畜産では、主に生産性の高さから選ばれた一握りの品種が飼育されます。こうした畜産方法とは一線を画したところで、一部の生産者は時代を超えて愛されている地場品種にこだわり、手間暇をかけ、品質の高い餌を選び、誇りを持って飼育しています。より美味しい食肉を得るためのヒントがここにあります。

舌の肥えた快楽主義者の農家、オロンセ・ド・ベレール(Oronce de Beler)氏もその一人。2000年代からブルゴーニュ地方のニュイ・サン・ジョルジュに住む彼は2012年にワイン造りに加えて「有益な」畜産に取り組むことを決めました。コルシカ島南部コシオーネ高原のブリーダーと知り合った彼は、島の固有種の豚を買い付け、第一陣をフランス本土に持ち帰り、すぐにガスコン種の黒豚と交配させました。ガスコン種はフランス南西部やピレネー山麓地帯の典型的な品種で、養豚が工業化された1950年代以降、フランスでの個体数が減少しています。

木々に囲まれた柵の中で、やんちゃな豚たちがご馳走を待っています。餌は地元の農家やぶどう農家の友人たちが作る雑穀。「養豚の秘訣?豚が長生きすること、餌はきちんと与えるけれど、強制的に食べさせないこと、だね。2歳未満の豚の脂肪は白いけれど、それ以上になるとこのように乳白色のようになるんだよ!」。つまり、粗放型畜産と呼ばれるもので、だからこそ美味しさもひとしおなわけです。生後6カ月で屠殺される豚がほとんどな今日、この農場の飼育方法は通常の基準とはかけ離れています。飽くなき探求心を持つオロンセ氏が次に取り組んだのは、採卵鶏の有機飼育。マランス(Marans)、ゴロワーズ(Gauloise)、クク・ド・レンヌ(Coucou de Rennes)など、すべて昔ながらの品種の鶏で、その黄身は蜂蜜を思わせます。

フレッド・メナジェ(Fred Ménager)氏も同じような賭けに出ました。農家兼料理人である彼は、オスピス・ド・ボーヌのすぐ近くに、「ラ・フェルム・ド・ラ・リュショット(リュショット農園)」を開きました。高級レストランに、さまざまな品種の鶏を飼育する養鶏場が併設された、型破りなビジネスモデルです。新しいタイプの料理人である彼は、生物多様性を愛する人々の門を叩いて地域を回り、2002年以来、きらびやかな羽を持つ多くの家禽類を飼育しています。毎年、彼が育てる鶏の数は1500から2000羽に上ります。そのほとんどは、併設のレストランを訪れた幸運な顧客の皿に載り、そうでなければ高級ホテルや有名レストランで食されます。この高貴な鶏たちが口にするのは、地元農家産の穀物や、雑穀ケフィアなどのバイオダイナミックな混合飼料です。「味も全然違うんですよ!」と、フレッド・メナジェ氏はいたずらっぽく言います。これも一歩一歩着実に歩んできた時間と、生物多様性のたまものでしょう

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