Emmental

IGP サヴォワ産エメンタールチーズ

Auvergne - Rhône-Alpes
生産地
オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ

ただ削るためのエメンタールチーズとは違います。IGP サヴォワ産エメンタールチーズは長期熟成によるフルーティな味わいで、複数のチーズを盛り合わせたチーズプレートに向いています。

知っておきたいこと

IGP サヴォワ産エメンタールチーズは、フランスのエメンタールチーズ生産量のわずか1%を占め、サヴォワとオート・サヴォワにある3つのチーズ製造所のみで造られています。原料はアボンダンス種、モンベリアルド種、タランテーズ種の牛の生乳です。乳牛は冬の間 100% 地元のまぐさで飼育され、夏は牧草地で地域の豊かな植物の恵みを受けて過ごします。飼料は非遺伝子組み換えの穀物で補われます。原料の生乳は搾乳から48時間以内に加工します。天然酵母を加えた生乳はレンネット(凝乳酵素)と混ぜられ加熱され、この処理により生乳は凝乳になります。チーズ製造者はその経験値から、チーズの固さを判断することができます。続いて最も重要な工程であるデカイヤージュ(凝乳の細断)を行います。製造者は細断器(チーズハープ)を使って凝乳を細断しますが、この時細断したものは米粒くらいのサイズになります。ホエイ(乳清)が凝乳から分離されます。この液は攪拌され、1時間ほど 53 ~ 54℃ に加熱されます。製造者は、細断した凝乳の粒を指で押し、材料の弾力性とまとまりをテストします(粘弾性試験)。この凝乳のまとまりをモールド(チーズ型)に移し、上層部に上がって来るホエイを取り除きます。カゼインマークがトレーサビリティのためにチーズに付いており、凝乳は「foncet (フォンセ)」と呼ばれる板を使ってプレスされます。数時間プレスした後、チーズをモールドから外し、リネンに包んで円形型に入れ、一晩反応室(酸性化室)に置き酵母と酵素の反応を促します。翌日、成形されたチーズの塊を取り出し、48 時間塩水に浸します。熟成はチーズ熟成士が行い、まず低温のセラー(6℃)に最初の3週間、次に 15℃ で 3 週間、最後に高温(23℃)のセラーに移します。

 

この工程の際にチーズに穴ができ、チーズは膨らみます。 熟成は 75 日 ~ 100 日、120 日に至る場合もあります。チーズ熟成士は成形されたチーズを木槌で叩いてその熟成度を確認します。その音からチーズの変化がわかるのです。チーズが熟成し終えたら、「サヴォワ」のマークが縁に押されます。

特筆するべきこと

視覚的に

視覚的に

中身はアイボリーから黄色。気孔やチーズの目と呼ばれる穴が開いています。ホールチーズは膨らんだ形で、外皮は滑らかで黄色から茶色味がかった黄色です。
味覚的に

味覚的に

混じり気のないバター風味でフルーティな味わいです。

栄養面のメリット

他のハードタイプのチーズと同様にカルシウムが豊富です。またタンパク質に富み塩分は少なめです。

編集後記

« チーズに空いている穴は、干し草に含まれるごく小さな微粒子が搾乳の際に牛乳に入り込み、熟成段階でガス溜まりを作ることによるものといわれます。 »

利用方法

保存・お召し上がり方・味わい方

セラーがあれば 10 ~ 12℃ で、なければ冷蔵庫の下段に元の包装のまま、またはラップに包んで保存します。チーズの香りが立つよう、また柔らかくするために、少なくとも召し上がる 30 分前にはセラーまたは冷蔵庫から出しましょう。また薄切りにするとより美味です。

IGP サヴォワ産エメンタールチーズはただ削るためのチーズではなく、個性的な味わいを持つため複数のチーズを盛り合わせてチーズプレートで提供するのにふさわしいチーズです。白パン以外の、酸味があまり強くないパンと合わせます。まろやかでフルーティな味わいなので、チーズプレートに複数のチーズがあったら、クセの濃いチーズより前に召し上がるのがお勧めです。もちろん料理にも使うことができ、キューブ状にしてミックスサラダ、グラタンやケークに入れたり、削ってポタージュの仕上げに乗せてもいいでしょう。

とのペアリング

お食事に:仔牛肉、豚肉、クロゼット(四角いパスタ)、野菜

ワイン:クレマン・ド・サヴォワ、 サヴォワ産白ワイン全般(シニャン・ベルジュロン、アビームなど)

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