今こそ熱い!熾火料理の人気が再燃

熾火料理が再び人気に!

長い間、晴れた日に田舎で楽しむバーベキューのイメージが強かった、熾火料理が、再び脚光を浴びるようになりました。都会のビストロやブラッスリー、そしてガストロノミーに至るまで、あらゆる場所で、才気あふれるシェフや食通たちが、この時代を超越した調理法を賞賛しています。流行の背景には…

Cooking in Fire

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本質的なものへの回帰

新型コロナウィルス感染症の流行により、外食産業では、客に「安心感」を与えることが必要になりました。それには、「伝統的なこと」が最良であることに気付いたのです。

フランスでは、「家庭料理」や「ハイエンド」、「伝統的な調理法」が好まれたという調査結果が。12カ国で展開するオンラインレストラン予約サイト「The Fork」の調査によると、非常に原始的な「熾火料理」の復活は、先祖伝来のノウハウへの関心を示す指標と言えると分析。このような観点からも、「火」はうってつけの存在感を放っていました。

人類による火を使った調理法の始まりは、旧石器時代、紀元前50万年頃まで遡ります。火は仲間同士の戦いの争点という社会通念とは異なり、その当時から既に、周囲に人を集める存在だったのです!

熾火が身近になる、さまざまな道具

「熾火料理」が、再び脚光を浴びることになったのには、便利な既製品や付属品が充実してきたおかげでもあります。例えば、日本の「備長炭」のような高品質な炭は、煙や不快な臭いを出すことなく、驚くほど長時間燃焼することが可能です。

パリ1区にある「シャルボン国虎屋」では、シェフの出身地である高知県の備長炭を使い、オマール海老やブレス鶏を調理しています。また、NASAが開発したセラミックを使用したアメリカの家電「ビッグ・グリーン・エッグ🄬」も注目されているアイテムです。東アジアの卵型土窯にヒントを得たこの製品は、グリル、強火調理、炙り、煮込み、燻製…と、常に新しいアイデアを探しているシェフたちを虜にしています。

エクス=アン=プロヴァンス近郊にある「シャトー・ラ・コスト」をはじめ、世界中でレストラン経営をしているフランシス・マルマンもその一人。この有名なアルゼンチン人のシェフは、魚の皮をより一層パリッと仕上げるために、瓦にのせ、石窯で調理することを好んでいます。

確かなノウハウ技術

「調理道具」には、アマチュア・プロに限らず、必ず使い手として「料理人」が存在します。そしていつもサポートを必要としている彼らにとって、熾火を使った料理には沢山の利点があります。

《窯とサーモスタッド、そして調理用温度計で私は料理を習得した。それらがあることは快適なこと。しかし、「熾火料理で」となると、まるでカードをシャッフルするみたいに、道具を使いこなし、予測できないものを作っているんだ。》

ブルドネ風仔牛のリブステーキ、サレール牛のフランク・ステーキ、さらにエイヒレまでも、炭火で調理している、マレ地区に程近い「ブラッスリー・デュビロ」のシェフは、フランスの日刊紙リベラシオンのインタビューでこう語っています。

《全ての食材をこの火にかけてみたいね。例えば、根セロリを灰の下で焼いたらどうなるか。自分自身で道を切り開いていかなければいけない、探究心が必要な分野なんだ。》

前菜からデザートまで

そう、このことに反対を唱える料理人はいないと断言できます。世界中のシェフが、かつてないほど「炎」を操っているのです。全てのものが炎に包まれているのです!

ミシュラン・一つ星を持つ、バスク地方の「ELKANO」では、鱈のココチャス(魚の頭下部分)やヒラメの丸焼きを炭火で調理し、世界中の食通を魅了しています。

ロンドンでは、同じく1つ星の「Brat」が、スモーキーな香りのチーズケーキをこの方法で焼いています。パリの「シェ・ブレーズ」では、初物のグリーン・アスパラガスをバーベキューで強火焼きにし、イカを炎で炒め、30日間熟成させたアキテーヌのブロンド牛を、薪で焼いています。

「熾火調理」はこのように、色褪せずに今も賞賛されている証と言えるでしょう。

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