フランスでは、古代小麦で作られたオーガニック小麦粉で天然酵母パンを作るパン職人が増えています。その理由は、極上の食感と味です。おいしいパンの再発見はいかがでしょう!

Green lines: A renewed taste for bread

先週、南仏のサン=レミ=ド=プロヴァンスで農家兼製粉業を営むパン職人アンリ・ド・パジスのパンに出会いました。ハチの巣状の生地、薪で焼いた繊細な焼き色、そして何より、天然酵母による酸味と古代小麦の甘い香りのバランスが絶妙で、その香りにうっとり!このパンを食べれば、近年損なわれてきたフランスならではの職人技を再評価してもらえるに違いありません。賞味期限の短さ、グルテンへの警戒心、時には消化不良…と、確かにパンを嫌いになる人がいるのも分かります。その原因のひとつは、製造時に化学酵母などの添加物が加えられること。ここで、パンは本来、水・塩・小麦粉という厳選された3つの材料から作られていることを思い出してください。この3つの材料を適切に組み合わせれば、何よりも消化と栄養価に秀でたパンが出来上がるはずなのです。

そんなパン作りに秘密はありません。まずは、上質な小麦粉が必要です。「古代小麦を使ったオーガニック小麦粉は、ピレネー地方のミシェル・カロル・パタンやジェール地方のジャン・クリストフ・シャセーニュといった製粉農家から購入しています」と言うのは、パリで「生きたパン」を販売するル・ブリシュトンのオーナー、マクシム・ビュシー。また、アンリ・ド・パジスは、プロヴァンスにある自分の畑でトゥゼル・ド・ニーム、バルビュ・デュ・ルシヨンや、その他の古来の穀物を栽培しています。

小麦粉が決まれば、次のポイントは発酵です。発酵は、適切に行われれば、グルテンをあらかじめ消化しやすくすることができるため、パン作りにおいて非常に重要な工程です。そのために不可欠なのが、小麦粉と水を混ぜて自然に発酵させて作る「天然酵母」、そして、忍耐力です。「私のパンには35~40%の天然酵母が含まれています。イーストはもともとパンに含まれていないものなので、入れません。問題は、イーストを使う人のほとんどが、発酵時間を短縮するために使っていることです。私の場合、酵母の発酵に15時間、パンの発酵に6時間かけているんですよ! 」消化以外に、酵母にはパンを長持ちさせる効果もあり、アンリ・ド・パジスのパンは1週間たっても元気なままです。

さらに嬉しいことには、消化がよく、栄養価の高いパンの復活は、フランス国外にも広がっているのです!ロンドンの「e5 Bakehouse」では、天然酵母のみを使用し、主に古代小麦からなる地元産のオーガニック小麦粉を使ってパンを焼きあげています。サンフランシスコの「Tartine Bakery」も同様で、アメリカ西海岸に天然酵母を広め、ソウルにまで進出しています。

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