≪エッフェル塔のソムリエール便り≫ ロゼワインはカジュアルにもリッチにも

By 細川 聖香

こんにちは、パリのエッフェル塔にありますレストラン「ル・ジュール・ヴェルヌ」でソムリエールを3年ほど続けてきた細川聖香です。フランスではロゼワインの消費が多いという事実、皆さんご存じでしょうか? パリではどんなシーンでロゼワインが愛されているのか、シチュエーション別にご紹介していきますね。
 

Hosokawa Sommelier Letter from the Eiffel Tower Rose Wine

カフェテラスや寿司屋が似合うロゼ
ロゼワインを飲むシーンとして真っ先に思い浮かぶのは、カフェのテラス席。仕事明けにレストランの同僚とカフェへ行くと、最初はアルザス産ビールで「お疲れ様!」と乾杯もしますが、テラスで映えるのは、やっぱりロゼワインなんですよね。フランスでは、もともとロゼワインが多く飲まれてきました。ワインを選ぶとき、「白ワインだと、まだ少しパワーが足りない。赤ワインだと重すぎる」と迷ったらロゼの出番。フランスでロゼワインが活躍する場は、なにもフランス料理店やカフェだけではありません。パリの寿司屋さんでは、マグロやサーモンの握りにロゼワイン。とくに脂ののった赤身の強いマグロには、ブルゴーニュのマルサネ・ロゼのようにしっかりとした味わいのワインを合わせるのが最高です。なお、生姜のガリとマルサネ・ロゼが、これまた抜群の相性を見せてくれます。
 

エスニック料理の定番ワインにも
ベトナムやタイなどのエスニック料理店でもロゼワインが定番です。レモングラスとコリアンダーが香る牛肉のタイ風炒めなど、独特な風味を持つ料理もロゼワインなら問題なく合わせられます。私も流行りのワインバーへ行った際には、海老の入ったベトナム風生春巻と軽めのロゼなんて組み合わせを楽しんでいます。「なら、辛いエスニック料理にもロゼワインかな?」と思われるかもしれませんが、実際フランスではバニュルスなどアルコール高めで味が濃厚な酒精強化ワインを合わせることが多いです。そもそも、フランス料理の世界には辛いものが存在せず、基本的にフランス人は辛い料理には弱いんです……。激辛の四川料理屋さんなんて、フランスで探すのは難しいんですよ。日本の家庭料理は、エスニックも中華も洋食も含まれてかなり多国籍ですから、ロゼの使い勝手はいいと思います。


 

ロゼを使い分けてロゼ三昧に挑戦

最近のフランス料理は、以前より油脂を減らしたり野菜を増やしたり、全体的に軽めの味へと移行しています。料理とのバランスを考えますと、重厚な赤ワインよりは軽めの赤やロゼワインが合わせやすくなるのです。レストランでのペアリングでも、どうしてもロゼワインでしか成立しないタイプもあり、ロゼワインの登場する機会は着実に増えてきています。ロゼワインといえばカジュアルなイメージが強いですが、星付きレストランでも当然ロゼワインは登場します。温かい山羊チーズのサラダを前菜にするなら軽いロゼワインがピッタリで、ヒメジをカラッと焼いた魚料理やブイヤベースには、プロヴァンス産の辛口ロゼを合わせたくなります。秋から出回るジビエ料理になると、ブルゴーニュやボルドーのしっかりとした味わいのロゼが合わせやすいですよ。高級ロゼの最たるものであるロゼ・シャンパーニュは、メインの肉料理やデザートに。レストランで「軽めのロゼワインから初めて、重めのロゼワインで終わる」なんて試み、一度いかがですか。

●細川聖香 名古屋マリオットアソシエホテルに勤務後、一念発起をしてフランスへ。パリでソムリエとして働くためのディプロムを取得し、数軒のレストランで経験を積む。2019年、エッフェル塔2Fミシュラン星付きレストラン「ル・ジュール・ヴェルヌ」リニューアル・オープンのタイミングで入社。ワインの知識とテイスティング能力を競う「ルイナール・ソムリエ・チャレンジ2021」フランス大会で優勝。
 

 

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細川 聖香
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