パリ発!フランス料理のトレンドを知るⅡ

By Tsuyoshi Murakami

前田真シェフ

ジビエ料理は、料理人の腕の見せどころです。クラシックなフランス料理を現代的な料理として提供していきたいと思っていますが、特にジビエは、フランス料理の醍醐味であり、日本人にもおいしく味わって楽しんでほしいですね。

 

ジビエの季節到来

秋から冬にかけてはジビエ(野鳥獣)の季節です。私は、特に青首鴨や山ウズラなどの野鳥の料理が大好きです。

ジビエは、下処理にも調理にも手間がかかる食材です。しかも、扱い方を間違うとおいしくなくなってしまいます。一方、上手に料理すれば、他の肉類にはないおいしさ、味の深みを感じることができます。料理人の技術が端的に現れるのがジビエという食材であり、ジビエ料理は、料理人にとって腕の見せどころでもあるのです。

秋口からは野鳥、秋が深まってくると、野ウサギやイノシシなどが登場します。ジビエには、独特の香りや苦味がありますが、それが特徴でもあり、それをおいしさとして感じてもらえるように料理しなければなりません。日本人のお客さんにもジビエが好きになってもらえるような料理を提供していければと思っています。
 

日本人らしさの表現

日本人がシェフの店なので、周りからは、日本的なテイストも期待されていると感じています。

「オ・ドゥ・サヴール」には、二つの味でという意味があります。フランスではよくあることで、店名は前の店からそのまま引き継いだものです。

以前はベトナム人シェフがベトナム料理とフランス料理のフュージョンともいうべき料理を出していたようです。前の店のように、和食とフランス料理のフュージョンも可能なのかもしれませんが、そのような料理を出すつもりはありません。

一方で、フランス人との根本的な感覚の違いがあります。例えば、フランス人は、ジャガイモのピュレの味にとてもうるさく、それぞれに自分にとっておいしい味があります。だから、自分としては、クラシックなフランス料理が好きで、それを強く打ち出していきたいとは考えていますが、そこに日本人らしさを加えていくことも必要だと思っています。
 

ビストロノミー、レストラン・ビストロノミック

店としては、活気があって、気持ち良く食事を楽しんでもらえるビストロのような雰囲気を保ちながら、料理は、星付きの店にも負けないクオリティの高さを目指しています。

10年ほど前、ネオビストロと呼ばれた店の料理は、ビストロと同程度の食材を使って、それを、いわゆるビストロ料理よりも洗練された一皿に仕立てるという考えに基づいて料理が作られていました。今は、より質の高い食材を用いてワンランク上の料理を提供しています。
 

 

前田真

スタートはスイス。高校卒業後、焼肉店を営む父親の知人、スイスで寿司店を開いている人を頼ってスイスへ。寿司店で働きながら、彼の地でフランス料理に出会う。フランス料理は、複雑で、まるで魔法のような料理に思えて、そういうところに惹きつけられたという。その後、一旦日本に帰り、札幌のフランス料理店などでフランス料理の基礎を学んでから再度スイスへ。そしてフランスで働くように。当初は、3年ぐらい修業したら日本に帰ろうと思っていたが、シェフとして店を任されるようになり、シェフを続ける中で、パリで自分の店を持とうと考えるようになった。2020年夏念願の自分の店をオープン。

Aux 2 Saveurs(オ・ドゥ・サヴール)
6 rue Emile Gilbert 75012 Paris
Tel:+33 (0)1 4606 4648
https://aux2saveurs.com/ja
 

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