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一口には語れないフランスのスパークリングワイン

Wataru Iwata Wataru Iwata, Sommelier 2020.07.01
sparkling wines
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FR_Cremant_Alsace

AOC クレマン・ダルザス

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我々日本人が一番好きと言っても過言でないタイプのワインがこのスパークリングワインではないでしょうか?フランスではシャンパーニュだけでなく、様々な産地でユニークなスパークリングワインが生産されています。今回はそれらのワインの特徴を説明しながら、楽しみ方などをお伝えしていきます。

大事な人と大切な日に・・・

お祝い事や記念日に抜栓する。そんな思い出にひと華添えてくれるような、特別なワインがシャンパーニュです。

フランスのシャンパーニュ地方で、「瓶内二次発酵」と呼ばれる手法で造られるスパークリングワインのことをシャンパーニュと呼びます。熟成させる期間などが事細かく決められており、長期熟成による複雑性やその緻密なワインメイキングにより、その質の高さは唯一無二です。

シャンパーニュ地方は、これだ!というような郷土料理がない、フランスでも珍しい産地の1つですが、その分様々な料理との汎用性が高いワインでもあります。魚介類だけでなく、白身のお肉、そして我々和食との相性も最高です。特に長期熟成によって造られるシャンパーニュは、その熟成過程において、「旨味」的要素を含んでおりますので、出汁の風味との旨味の相乗効果では素晴らしいハーモニーを奏でてくれます。

 

毎日の食卓に

私が初めてフランスを旅した時に、友人の家でよく飲んでいたのが、クレマンでした。各家庭の冷蔵庫にいつも入っていた、と言っても過言でないほど、我々がビールを冷蔵庫にストックするように、冷蔵庫の片隅を陣取っていたのがこのワインです。

製法はシャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」ですが、熟成期間はシャンパーニュと比べると緩く、各産地で造られてますので、産地ならではの品種を使った、個性豊かなスタイルがあり、例えばアルザスでは「リースリング」が、またはロワールでは「シュナンブラン」という品種が使われ、その産地の食材や郷土料理と合わせることで、フランスの多様性溢れる食文化に触れることもできます。シャンパーニュほど肩肘張らずに楽しめるワインなので、フランスと同じように家族の団らんや、友人たちとテーブルを囲みながら家庭料理とともに楽しむのもオススメです!

 

スパークリングワイン業界の「スウォッチ」

今、注目を集めているスパークリングワインと言えば、「ペット・ナット」です。

これはフランス語の「ペティヤン・ナチュレル(Pétillant Naturel)」の略語です。

製法はブドウの果汁のアルコール発酵の途中で瓶に詰めて王冠で蓋を閉めて、瓶内でそのまま一次発酵を完了させるという仕組みで、その他のスパークリングワインと比べるとガス圧も低く、フレッシュさが際立ち、仄かな残糖分を残しているスタイルも多く、瓶内に残った澱を取り除く作業もしないため、濁っているものも多々あります。

このワインの歴史は16世紀にまで遡ります。南仏のリムーというエリアで考案され、昔ながらの製法ということで、「メトード・リュラル(Méthode rurale/田舎式製法)」と呼ばれます。フランスで造られるペット・ナットはラベルもユニークで惹きつけるようなキャッチーなものが多く、特に若者の間で、そのカジュアルさと、「インスタ映え」するようなラベルで、多くの人気を誇っております。

どこかの記事で見ましたが「シャンパーニュがスパークリングワイン界のロレックスならば、ペット・ナットはスウォッチ」というのがありました。

気の許す仲間とワイワイ飲むのに最適なワインであり、そのカジュアルでフレンドリーなスタイルは、食事との相性でも見えます。特にワインと合わせることが難しいと言われる「苦味」があるような料理でも、このワインのスタイルが持つ仄かな甘味が苦味をしっかりと包み込んでくれることで、味わいに奥行きを演出してくれるなど、和食のように「苦味」を尊重するような我々の食文化にも相応しいワインです。

(執筆 ソムリエ 岩田渉)

わさび
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セヴェンヌ産スウィートオニオンAOP
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